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御乱心 「ははは、お前も蝋○形にしてやろうかぁ!」 「ちょっとハクオロさん、何言ってるんですか?」 「いや、新年一発目ということもあって何か強烈に記憶に残る台詞をだな…」 「聖上、問題ある発言はお控え下さい」 「ん、ああ、そうか…なら仕方ない。飲み直すか…」 トゥスクル城内のある一室――何故か明かりが灯っておらずただただ暗いその部屋に、いつもの如くいつもの面子(?)が集まっていた。 ハクオロをはじめ時計回りにエルルゥ、オボロ、ベナウィ、クロウ、カルラの6人である。 「それで兄者、こんな暗い部屋で何を始めようとしてるんだ?」 杯を口に運びながら言うオボロ。 「うむ、それについて私から説明しよう」 ハクオロはドカッとその場にあぐらをかき、さも重大なことを話すかの如く喋り出す。 「実はだな、ひとつ怖い話を酒菜に宴会をだな」 「また一体どうして怖い話なんですかい?」 誰もが気になっていたであろう事をさらっと聞いたのはクロウ。「今年は目立ちますように」と神頼みをした男だ。 「私が皇だからだ」 「は?」 全員の声が重なった。 「何を驚いている。私はこの國の皇であるぞ。宴会の酒菜を自由に決めて何が悪い」 扇子を開き、ガハハと笑いながら酒を口に運ぶハクオロ。 「ちょっとエルルゥ」 「はい?」 カルラが手招きし、それに従い側に寄るエルルゥ。 「あなた、あるじ様の食事に変なものでも入れたんじゃありません?」 「そ、そんなことありません。それに皆さんだって同じ食事を食べたじゃないですか」 それもそうですわね、と言いながら酒を飲むカルラ。 勿論今の会話はハクオロに聞こえないよう小声である。 「そこのふたり、ヒソヒソ話はよくないね。さあ私にも聞こえるよう話しなさい」 扇子でビシッとふたりを指し、ふぉふぉふぉ、という謎の笑い声を吐き出しながら仮面の皇は言う。もはや完全におかしな人である。 「さあさあさあさあさあ!」 じわじわと地面を這いながら距離を詰める。 「皇である私の命令が聞けないと言うのか!この――」 大きな鐘が鳴った――ような音だった。 変態仮面は崩れ去った。頭にある大きな瘤。 ベナウィの手に握られた金棒。それが凶器だった。 「おい、ベナウィ。やりすぎじゃねーか」 何事もなかったかの如く言うオボロ。 「いえ、これが最良の選択でした。このまま宴が続けば明日のトゥスクル新聞の3面記事の見出しは容易に想像できます。『あわやハクオロ皇ご乱心!酒と女に溺れた私生活』ああ、なんて恐ろしい…。これが領地の民の目に入れば國は崩壊に…(ブツブツ)」 わなわなと身体を震わせながら熱弁する男、侍大将。 「それにしても良い金棒っすね、ちょっと見てもいいっすか?」 といいつつベナウィの手からそれを奪い取るクロウ。 ベナウィはそんなことも気にせずにブツブツ呟いている。 「あぁ、こりゃすげぇ良い品っすよ。この滑らかな肌触り、色、艶、にほい、どれをとっても一級品じゃないっすか。いやぁ、欲しいなこれ。妻を質に入れてでも云々ってのはこんな時に使うんですかねぇ?」 いきなり金棒の鑑定をはじめるクロウ。 それを見る目は汚れを知らない少年のように澄んでいる。 「あ〜、もうねぇのかよクソッタレ」 酒樽を逆さに向け、中身がないことを確認するオボロ。 「ドリィ、グラァ。酒ないかー?」 廊下に向かって叫ぶオボロ。 直後壁を突き破って酒樽が飛び込んできた。 「若様!どうぞ!!」 「でかしたぞドリィ、グラァ」 「ありがたきお言葉」 「あぁ、どうでも良いけどドリィって何だか遺伝子操作された――」 そんな光景を遠目に眺めるエルルゥとカルラ。 「エルルゥ、やぱり何か変なもの入れたんじゃなくて?」 「ど、どうなんでしょう…?身に覚えはないですけど…」 豹変した男共。 相変わらずな女達。 「と、とにかく私たちも飲みませんか。ほら」 「そうですわね。これはこれで見てて楽しいですし」 新年の夜は続く―― 「――ってユメみた」 「ふーん、何だかアルちゃんの夢面白そうだね」 「よくわからない」 「じゃあ、ユズっちにも聞きに行こう」 「ん」 ぱたぱたと駆ける音が響く。 <おしまい> +オマケ+ 「わぁ、ユズっちの夢かっこいい〜!」 「そ、そうでしょうか」 「カッコイイ」 「初夢は正夢になるって話だよ〜」 「ユズっちスゴイ」 ユズハの部屋で楽しく談笑する子どもたち。 そこにやってくる男がひとり。 「やぁ、みんな。おめでとう」 「あ、アワヤゴランシン!」 「ゴランシン!」 「ゴランシン!」 みっつの指がひとつを指した。 |