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今夜の番組チェック





「…………は!?いまなんと?」

思わず、間の抜けた声を返してしまった。


ここは名もなき小さな集落。


近くで戦があったがため、落ちのびて来た兵の一部が野盗となり、
近隣の森に住み着いてしまった…

というのが仕事の前にカルラ殿に聞いた話になる。


……いい加減某の腕を勝手に売るようなまねは
やめて欲しいと再三言っているのだが……


まぁ、今回の件については某も力になりたいと望んだ以上、
いろいろと言うつもりはない。

ともかく、その野盗達をこらしめる事になったのだが、
こやつら、二ヶ所に本拠地を分けていた。

どちらかが襲撃をうけてもどちらかは逃げ延びれるように、だ。


……その団結力をもうちょっとよい方向に使えなかったものか…


ただ、人数はそう多くなく、
武器もほとんどぼろぼろだったらしいということから、
二手に別れ、一度に終わらせてしまおう、という話になったのだが……










『帰郷』
〜トウカ〜







「いえ、もうひとかたはすでに集落を出られました、と申し上げたのですが…」

「…………」


戻ってきて、村長に報告に来た某が、告げられた事実がこれだった。

どうも某が戻ってくる一刻前には戻って来ていたようなのだが、
雑談の途中で急に顔色を変えて出て行った、というのだ。


「…………いかに気まぐれといえど、様子がおかしすぎる…」


『あの』カルラ殿が、血相をかえて出て行ったというのである。

余程のことがなければそんなことはありえない。

「…村長殿。カルラ殿が――
 某の連れがどこに行ったか、見当はつきませぬか?」

「はぁ……そういえば、
 ちょうどトゥスクルの噂話をしておりましたが…」

「!!トゥスクル!!」


間違いない!あの国に…我らの『家』に何かあったのだ!


「…くっ!急いで後を追わねばっ!!
 村長殿、某もこれで失礼いたします!!」

「あ…は、はい…」

「あ!と、報酬についてですが…」

いらぬ、と言えればよかったが、
ちょうど路銀もつきかけていたころ。

わずかばかり受け取っておこうと立ち止まる。


「あ、報酬はお連れの方が受け取って行かれましたよ」


「へ…………」



「…………」

「…………」


……………………




「…あ・の・お・ん・な・ぁ〜〜〜!!」

と、怒りに任せて飛び出した。


……後から考えてみれば、この時村長殿に、
「なんの話」をしていたのかを聞いておくべきであった…




『後悔、先に立たず』。











































「……!!あれはっ!!」


と、足を止める。

遠目にもわかる…あの長い髪…あの影はカルラ殿だ。


「……ようやく、追いついた…」

ふぅ、と息をつく。

実際、もはや足は疲れ果て、すぐにでも座り込みたい――
いや、倒れこみたい衝動に駆られる…

なにしろ一昼夜走り通しだったのだ。

あの集落が比較的トゥスクルに近かったのは幸いであった。


途中、横切った集落の人々には驚かれたが……
さすがに家の中を通り抜けたのは問題だっただろうか。


  ※…その集落で、またひとつもののけが生まれるのだが、それは別の話。










「……ここは…やはり…」

と見上げた建物は、皇城。

カルラ殿の姿はここに消えた。



…………予想通り、ではあった。
予想通りではあったのだが……。



「何故……忍び込むのだ…?」


カルラ殿は塀を乗り越え…

某<の記憶が正しければ、そしてそれが改善されていなければ……

地形上、一番見張りが手薄になる場所に入っていった。


我らは、言うまでもなく、この国の中核にいた過去がある。

……『難民であった』とか、『かつて敵対していた』という記憶もあるが…
そんな事をとがめるものは…少なくとも知り合いにはいなかったはずだ。

つまり、正面から入れば通されるはずなのである。


「それをわざわざ忍び込んだ…まさか!!」


考えられるのは、皇城が何らかの敵に占拠されている事態である。

…よもやベナウィ殿がその辺の有象無象に遅れをとるとは思えぬが…


だからこそ危険だ。

あのベナウィ殿が敗れる相手であれば、どれほど強大な相手か…!!


「…カルラ殿だけでは遅れをとるやも…某も追わねば…!!」




























「……おかしい……」


忍び込んでみて、気づく。

占拠されているにしては、静かだ。

敵の見張りがいるわけでもなく、血のにおいも全くしない…


「……一体…!?」


と、視界の隅を横切る影。

「!!」

はっとして影の姿を追うと、その影は禁裏の方へ移動していった。

「……カルラ殿?」


見間違えだろうか。


カルラ殿にしては、髪の形も服装も、全く違うように見えたが…

だが、なんとなく、あれはカルラ殿のような気がする。


「…禁裏……ついていくべきか……」


と、足を踏み出す。


(…やはり…少しためらってしまうか…)


あの場所には思い出が多すぎた。


あの方と、肌を重ねたのも……あの場所だ。


…一晩中、あの方の寝姿を、見続けたこともある。


あの方と……



「……っ!!某としたことが…」


涙を……こぼすなどと…


「…こんな様子をカルラ殿にでも見られれば、またぞろからかわれる」



今は……今はとにかく、カルラ殿を追わねば…



























「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


沈黙。



頭の中が、まっしろになった。



目の前の光景が…嘘のようで。






あれから、カルラ殿を探して禁裏に入った某は、
寝所にまで足を伸ばした。


……なんだかんだと言いつつ、やはり、思い出はいとおしいもので。

そこに向かった、というよりは勝手に足が動いたようなものだ。




「ぁ……ぅ…」


うめくような声しか出ない。


何かいいたいのに、言葉が出ない。


思考が、ついていってくれない。


「……あら、もう追いついてきたんですの?
 せっかくの二人きりの逢瀬でしたのに…」


声からして…カルラ殿らしい。

……某にはあまり信じられぬのだが。


…どうでもよいがカルラ殿がこんな甘い声を出すと、
いたずらを企んでいるようにしか思えぬのだが…




…………いや、思考がずれた。


あまりにも…あまりにも目の前の光景が衝撃的過ぎて、
思考が逃避しかけたらしい。



「ぁぅ…せ……せ……」



懐かしき寝所に入って…


…果たしてカルラ殿は、そこにいた。



目の前の、その方に身体を絡めるようにして。



「……トウカ……私だ。」



それだけ。


それだけの声で、霧が晴れた。


ああ、この人だ。

やはりこの人が私の仕えるべき人だ。


あの仮面は今はなく、初めて見るその御顔…


だが、間違えようはずがない…!!
間違えようはずがない!!


足が動く。その方に向かって。

腕を広げる。その方をじかに感じるために。




「せ…聖上ぉぉぉ〜〜っっ!!」






































そして……


























「……っ!も、申し訳ありませぬ!
 聖上に対しこのような振る舞い。某、いかなる咎めも…!!」

「いや、そんなに気にせずとも……」


「全くですわね。せっかくのあるじ様との甘い一夜が台無し……
 あるじ様、どういたします?」

「……カルラ?何を……!!」

「あら、それは良いお考えですわね……」

「ぐ…………好きにしてくれ(泣)」


…………カ、カルラ殿?

聖上の…その…『それ』を握りながら何を企んでいるのですか?


「……トウカ、あるじ様は二人での伽をご所望よ」

「…………は?…………え…と…かるらどの?」

「うふ…うふふふふふふふふふ」

「か……かるらどのぉぉぉぉぉ!!?」








その後のことは……某の口からは…(赤)






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