「ハクオロさん、アルルゥがこっちにきて……あ、あれっっ!!?」
「あら、エルルゥ」
「エルルゥ?」
ベナウィ達が出て行って、少しして、
そんな声と共に入ってきたのはエルルゥだった。
……なんとも、千客万来な夜だ。
『うしなわれるもの』
〜白皇(結)〜
「…………」
「ん?…………どうした?エルルゥ」
「………なんでもないですっっ!!」
どすっどすっという足音を立てて部屋に入ってくる。
……なんだ?何を怒って……
と、部屋の中を見渡した。
カミュが私の隣にいる。
なかば私に身体を預けて。
ウルトとカルラがいる。
……晩酌はもうお開きだ、と言ったのになぜか静かに飲んでいる。
トウカが部屋の隅で…寝たふり?
そして、膝の上にはアルルゥ。
「…………」
なんとなく、わかった気がする。
「あ〜、エルルゥ。これはだな…」
「知りませんっっ!!」
取り付く島がない…
「それじゃ!!アルルゥを連れ…て…
あれ?この子、寝ちゃってる…」
と、怒りの勢いのままアルルゥを抱えようとしたエルルゥがとまる。
そう、随分前にアルルゥは寝てしまっていた。
……あの騒ぎの中、よく眠れるものだ。
「……え、と。どうしましょう、ハクオロさん…」
起こすのもかわいそうだ、と言う表情のエルルゥ。
かといって寝ているときに運ぶと、
また以前のように泣き出してしまうかもしれない…
「……そうだな。私の布団で寝かせるか」
「え…でもそれじゃハクオロさん…」
「はは、ここのところは構ってやれなかったからな。
今夜くらいは、な。」
「……………」
何かむーーっという感じのエルルゥ。
……………はぁ。
「……一緒に寝るか?」
「……え?……」
今度はキョトン、とする。
と、思ったら今度は徐々に頬を染める……
……見ていてなかなか面白い。
「え?え?は、ハクオロさん。またそんな…」
「いや、今回は本当だ。」
「え?……で、でも…いいんですか?」
「ああ、政ばかりで、エルルゥとも一緒にいれなかったからな」
「あら、うらやましいですわね。」
と、いつの間に後ろにまわったのだろう。
抱きついてきたのはカルラだ。
「私も、ご一緒したいですわ」
「お、おいおい。さすがにそんな人数は…」
布団に入る人数などたかが知れている。
アルルゥとエルルゥで精一杯だ。
「あら、でしたら……そうですわ。
今夜はみなさんで、この部屋で寝ません?
布団さえ持ち寄れば、広さは充分ですもの。」
確かに……以前の国の時のものをそのまま使ってる部屋だけあって、
この部屋は無駄に広い。
ここにいるくらいの人数は、楽に眠れるだろう。
「どうですの?あるじ様?」
「おじ様、カミュもそうしたい!!」
「あら、でしたら私は布団を運んできましょう。」
「あ、お姉様。カミュも行く!」
カミュが賛成し、ウルトはすでに動き始める。
「トウカ。いつまで寝たふりをしてるんですの?」
「うにゅ…………はっ!!某は一体……!!」
「……本当に寝てたんですのね…。
さぁ、お起きなさいな。サクヤとクーヤも誘いに行きますわよ。」
「は?……あの…え?某、状況が全く…?」
戸惑うトウカの襟首を後ろ手につかんで、カルラが駆けていく。
結局……私の意見なんか聞かないんじゃないか。
「………………」
「…………なんだか、妙な事になりましたね。ハクオロさん」
「……ああ…けど、まぁ」
こんな日もいいか、と思う。
……ふ、と外を見た。
月は変わらず煌々と光り、星は輝きながら瞬く。
……けれど、もう、私の心に、悲しい色は浮かんでいない。
「…………フフッ…」
「ハクオロさん?」
「いや、なんでもないよ。さ、アルルゥを布団に入れようか」
「ええ」
………………
…ああ、これが。
これが家族なのだ。
私が長い時の果てに得たもの。
ミコトが私に残したもの。
ユズハが残したつながり……
そう。
そうだ。
あるいはこの世界は全て、うしなわれるものなのかもしれない。
けれど残されるものも多くある。
そうだろう?
ミコト……ユズハ……
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