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……いない。
…………いない。
おとうさんが、いないよ……
『森の夢』
〜夢幻〜
「うっうっ……ぐずっ……うう……」
「アルルゥ……」
もりの、なか。
……いし。
…おとうさん、いない。
あいたい、ていったら、
おねえちゃん、ここにきた。
でも、いない……
「……また、ここに来ていたんだね……」
「…………」
おばあちゃん。
おばあちゃんのこえ。
……おとうさんじゃ、ない……
「……お父さん……」
おとう……さん…
「うっうっ……うわああああああああっ!!」
…………っ!!っ!!
っっ!!……!…!
「…………アルルゥ、エルルゥ……」
…………っあう………
…あったかい……
……おばあちゃん……
「もう、泣くのはおやめ……」
……………………
「……泣くのはおやめ……」
「ひっぐ、えぐっ……ううっぐずっ」
……………………
「……アルルゥ、エルルゥ。お墓は何のためにあるんだと思う?」
「…………おと〜さん……しんじゃたから……」
……おやじ、そういってた。
ソポクねえも、そういってた。
しんじゃたから、あえないって。
「お父さんはね、寝てるんだよ。」
「………ねてる……?」
「そうさ、今まで一生懸命、生きてきたからね。
これからゆっくり、ねむるんだよ。」
「…………また……おきる?
おきて、アルルゥのこと、なでてくれる……?」
また、はちみつ、とってくれる?
また、おんぶ、してくれる?
……………………
…………ちがうの?
……ちがう……
「……けれどね、アルルゥ。
お父さんは、夢の中で、アルルゥたちの事を見ているんだ」
「……………………」
「だから、アルルゥ。
もう、泣くのはおやめ。
お父さんが、ゆっくり眠れるように」
「……………………」
おとうさんねてる……
ずっとねてる…………
なくの、だめ?
なくの……だめ?
でも、あえない……
もう………あえない……
「…………………っ」
「っ!アルルゥっ!!」
「うっぐっひっっく……」
もり。
もりのなか。
…………おとうさんと、あるいたもり。
「うぐっうっ……」
ごんっ
……いたい。
き。
あたま、ぶつけた。
「うぐっ、わああああああっっっ!」
…………………
…………………
「…………う……」
……………?
……ねむい……
………ねてた……?
「…………?」
ひろい……
おとうさんの……せなかみたい。
…………なに?
……………
き。
おおきなき。
さっきぶつかったき。
………ここ、あったかい……
「…………おと〜さん」
おとうさんの、せなかみたい……
…………まだ…ねむい……
だから……ねる……
『………アルルゥ……』
こえが、きこえたきがした…………
…いろんなこと、あった。
森で、あそんだ。
……木のぼり、おぼえた。
ハチの巣、自分でとってみた。
……おいしかった。
木の下で、おひるねした。
……きもちよかった。
お姉ちゃんの手伝いも、たくさんした。
…お花のなまえ、たくさん覚えた。
…………
森にいたら、すごくゆれた。
…………
……おと〜さんと、会った……
…おとうさんと、ちょっとちがうけど、
でも、やっぱり、おと〜さん。
おと〜さんと、なかよくなった。
……おと〜さん、やっぱり、あったかかった。
………………
………………
「…………ひま」
……今日は、みんないない。
みんな、こわい顔して、森に行った。
……アルルゥはおるすばん。
お姉ちゃんに言われたから。
……………
…………でも、つまらない……
「…………?」
?……なに?
「…………」
声。
聞こえる。
……だれ?
「………………ん。」
わかった。
アルルゥ、行く。
………………
………………
「……………………」
…………ついた。
……どこ?
「……キューー―ン」
?
なにか、いる。
「……キュ〜〜」
…………赤ちゃん。
ちっちゃな、赤ちゃん。
「…………呼んだ?」
「キュフ〜」
だきあげる。
…………ちがう。
呼んだの、この子じゃない…
「…………」
でも、他に誰もいない……
「キュ〜〜」
「…………お母さん、いない?」
「キュー」
「……そう」
………アルルゥと、いっしょ。
「キュ〜〜…」
「……さびしい?」
「キュー……」
………あ……
きこえた………
また……声……
「うん…約束」
「キュフ?」
「お母さん」
うん、なる……
「わたしが、お母さん。」
「キュ〜ン」
……………声、したから。
………………
………………
――この子、きっと、この森の赤ちゃん。
おとうさんの森の、赤ちゃん。
だから――
「…おと〜さんと、アルルゥの赤ちゃん。」
「「「え!?」」」
「…………ん……」
「あ、アルちゃん。起きた?」
…カミュち〜。
「よく寝てたね。
気持ちいいもんね。」
「ん」
夢、見てた気がする。
……どんな、夢?
「…………」
「……クルルルルッッ!」
ん…ガチャタラ……
…………ほおずり。ほおずり。
………………
……あ……夢、わかんなくなった…
「む〜」
「?どしたの?アルちゃん」
「…………ん、なんでもない…」
ちょっと、がっかり。
……でも。
「………んっ」
「どこいくの?」
「……サクち〜と、クーちゃんのとこ」
「そっか!おすそわけだね!」
「ん、ハチミツ配る」
……気にしない。
見てたのは、きっと、いい夢だから。
「行こ!!」
「うんっ!!」
「ヴォっ♪」
……………………
……………………
「……行ってしまったか」
娘達が居なくなったのを見届けて、
私はウンっと背伸びした。
あいも変わらず、日差しは柔らかく、風は心地よい……
「……っと、いけない休憩しすぎたか。
早く行かないと、ベナウィの説教が始まってしまう」
娘達のあどけない姿に、見入りすぎたようだ。
そろそろ行かねば…………
…………
……私の娘……か。
「ずっと見守りたくなる、というのが、
父親の心境なのかな……」
……そう、きっと。
見守っているんだろうな。
あの場所で……。
私は呟いて、きびすを返した。
…最後に少し、あの辺境に、視線を投げて……
おまけ。
「ん?下から何か…聞こえて……」
「こらーーーーッッ!!アルルゥッッ!!
ちゃんとお薬塗りなさーーーいっっ!!」
「……や」
「エルルゥ姉様こわ〜〜いっ!!」
「ギャフーーーー!!」
「…………」
……アルルゥもその内、ああなるのかな………
「……これも父親の心境、か?」
呟いたハクオロの目は、遠かった……
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