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・・・夢を、見ていました。
まだ、私がこの『家』…トゥスクル城に来て間もない頃。
ここの者のこともようやくわかり始めて。
初めてあのコの部屋を、訪ねた頃の、夢――――
『その手の先に』
あの日、私は珍しくお茶を煎れていました。
―――もちろん、ただのお茶ではないのですけれど。
剣奴達の間で伝えられ…というより、恐れられていたモノ。
ヘラペッタを筆頭に、疲労回復、精力増強の効果が著しい食材を、
たっぷり使った飲み物。
しかし、大抵の者の想像を遥かに越えるであろう其の味に、
好んで飲んだ者はいなかった、と聞きました。
試しに私も味見してみましたが、結果は…
言わずもがな、でしたわ。
何故、そんな物を用意してましたか、ですって…?
決まってますわ。
ここのヒト達に飲ませて、反応を見るためですわ。
その方の性格もわかるし、何より見ているだけで面白いんですもの。
そんなこんなで、煎れ終わった私は、オボロとクロウに差し入れに行きましたわ。
二人共見事に引っかかってくれて…悶えてくれましたわ。
ただ残念でしたのは、主様とあの男に用意したお茶…どちらも、飲ませることが
出来なかったことですわ。
あの男に途中で見破られてしまって…本当、侮れない者だと思いました。
そんなこんなで、あまった其のお茶をどうするか思案していた時…
ふと、訪れていなかった部屋と、そこの住人であるあのコのことが思い浮かんだのですわ。
コン、コン…
「どうぞ…」
声がするとともに、部屋の中に入りました。しかし…
「……?」
あのコは少し、怪訝な顔をしました。
「ごきげんよう。ユズハ。気分は如何ですの?お茶を持ってきましたわ」
「あ・・・カルラさまでしたか…こんにちは…」
「…え?」
今思えば、彼女は其の時にやっと私だと気づいたのでしょう。
目がみえていないのですから、声や足音で相手を確認するしかない。
今までこの部屋に来た事が無かった私の足音で、わかるはずないですものね。
そんな事も、ご飯の時間以外、顔を合わせたことの無い私には、
わかっていなかったことでしたわ。
(……)
悪戯する気が、失せていきました。
あのコの目…光を映すことの無い、その瞳は、それでも…
純粋で、真っ直ぐな…無垢そのものの、眼差しでしたわ。
真面目だとか、そういった類のものとは明らかに違っていて…
きっとこのコのことを疎ましく思うような者は、
人間を止めてしまった方がいいのでしょうね。
「お茶、ですか…ありがとう…ございます…」
「え、ええ」
ユズハの言葉に頷きながら、盆を差し出しました。
例のモノ以外に、普通のお茶も一つのせてありましたから。
其の茶を、と、取りやすい位置に置いた…つもりでしたのに…
「…いただきます…」
「…あ…」
ユズハの手は、それを素通りすると、例の茶の方を掴み、そして…
「……!」
ごくっ、ごくっ・・・・
「……」
ユズハがソレを飲み干していくのを、私は止められませんでした。
…再びわいてきた悪戯心と葛藤していましたから…
でも・・・
「……」
「……」
「…美味しい、です…」
「…え!?」
お茶を飲み終えた後のその言葉に、自分の耳を疑いました。
「ナメッとして、ヌメッとしてしょっぱくて…美味しい・・・」
「そ、そうですの…」
…ま、まぁ、別に毒ではないのですから、いいのですけれど…
よかったような、少し残念なような…複雑な気分でしたわ。
「…それでは、私はこの辺で失礼しますわ」
「ハイ…」
それから少し話してから、私は部屋に戻ることにしました。
立ち上がり、扉まで行って手をかけた時…
「あの…カルラさま…」
「なんですの?」
「また…いらしてくださいね…」
「…ええ」
後ろからのその声に、苦笑しながらかえし、部屋を出ました。
そんなこと、わざわざ言うほどのことでもありませんのに…
そんなことがあったからでしょうか。
私はそれから、頻繁に顔を出しに行くようになりましたわ。
・・・それから、しばらく経ったある日のこと。
私はまた、あのコの部屋に向かいました。
コン、コン… ガチャ。
「…カルラさま…また、いらしてくださったのですか」
一言も発していないのに、わかるのですの…
それだけ、自分がここに来ているという証拠ですかしら。
そんなことを考え、少し嬉しくなる。
でも…
「…どうしましたの。ユズハ?何か元気がないようですわね」
「そう…ですか?」
「ええ」
いつもならば、こちらが話す、話さないに関係なく、優しく微笑んでくれますのに…
今日は、どこか無理している感じのする笑顔ですわね。
「カミュやアルルゥはどうしましたの?」
「二人共、ムントさまに用があるとかで…さっき、帰りました。」
「あら、そうですの…」
そういえば先程、食糧庫の前で鉄のたらいで何かやってましたわね。
…何をするつもりでしたのかしら?
「…あの、カルラさま…」
「?なんですの?」
突然、おずおずと…しかしそれでも。
どこかすがるような感じで、聞いて来た問い…
「『紫琥珀(ムイ・コーハ)』とは…どれほどするものなのでしょうか…?」
『紫琥珀』…確か、昔一度だけ見た事はありましたわね。
なんでも、万病に効き…治せぬ病の方が、少ない、と言われる程の薬剤。
その美しい見かけから、装飾品としても人気がある宝玉。
ただ、ひどく希少な物で…
城がニ、三個建てられるような額で売られていることもある程でした。
最近はその値も落着いてきたとはいえ、それでもまだまだ庶民どころか、
並の貴族でも手の届くものではありませんわ。
でも、何故そんなことを…
(…あ、っ……!!)
「…何故…そんなことを聞きますの・・・?」
「私の薬の、材料なんだそうです…」
「……」
…重い病だとは、聞いていました。
治せないうえ、生きるその為だけにも、大金が必要だということも。
けれど、信じたくはありませんでしたわ。
紫琥珀―――アレでさえ、延命の手段程度にしか、効果がないなんて―――
それでは、貴方は…
「エルルゥさまが…最近それが少し足りない、とつぶやいていたのをお聞きしました…」
「それが何なのか聞いても、大した物ではない、とおっしゃるばかりで…
でも、あの慌て様…普通ではありませんでした。」
ユズハの言葉。
耳には入ってましたけど、理解するのに少し時が必要でした。
その前の質問の意味を受け止めるので…精一杯でしたから。
「・・・ユズハは・・・」
ユズハの声が震えているのに気づいて、我にかえる。
「ユズハは、皆様のお荷物にはなりたくないです…本当のことが、知りたい…
私のことで、誰にも・・・苦しんで欲しくないです…」
そう言い、その瞳から零すのは…涙。
…本当の、こと。
それを知ることが、何になるのでしょうか。
話して、いいものでしょうか。
体のことは、自分のもの。気づいていてもおかしくはないですけど。
しかし、このコは自分のことより、他人に迷惑をかけていた、ということの
方が、辛いのでしょう…
(…『迷惑』?)
そこまで考えて、ふと、気づく。
この家の者のこと・・・
食事の時の、風景・・・
そう、このコに対して、皆はいつも…
「…ソレを聞けば、貴方に責任ができますわよ。…それでも…よろしくて?」
声を低くして、聞く。
「…『責任』、ですか…?」
「そうですわ」
「・・・・・・・・ハイ…それでも、聞きたいです…」
少し間があったものの、ユズハは頷きました。
ユズハは一度言った事は変えない。
特に、このことは自分のことだけではないから、納得するまで引き下がらないでしょう。
嘘で誤魔化す事は、簡単でしたけど・・・
ソレをすることは、このコの皆への気持ちを侮辱することになる。
そうは、したくなくて・・・
「…わかりました。教えて差し上げますわ…」
そして、私は包み隠さず、私が知っている限りのことを、話しました。
「…そう、ですか…」
ユズハが、つぶやく。
その声は、ひどく弱々しかった。…こちらが、見ているだけで、辛い程に。
だから、私は…
「皆…笑顔ですわ。いつも。」
「…え…?」
「食事の時、部屋に来た時、あまりないですけど、廊下で会った時…
いつも、人は貴方に対して、笑顔で接する。それは何故だか、わかりまして?」
「…いえ…」
かぶりを振るユズハ。
それを見て、言葉を続ける。
「それは、貴方がいつもそうしているから…貴方といると、楽しいから…
だから、私だって会いに来るのですわ。ここまで。」
そう言い、手を握る。
「皆ユズハのこと、大切に思っているのですわ。
だから、ユズハのために、したいことをしているだけ…気にすることは、ありませんわ」
「…でも…」
何か、言おうとするが、言葉にならないらしい。
「皆、迷惑だなんて、思ってませんわよ。私だって、毎日のお酒代もの凄いですわよ?
…大変なことは、人それぞれですわ。」
少し、おどけてみせてから、握った手に、力を込めて。
「ここまで愛されているのだから…その気持ちを裏切ってはいけませんわ。
精一杯生きて…皆と笑って過ごしていきなさい。…貴方が自分の生に、満足するまで…
それが、貴方の『責任』であり、義務ですわ」
「……」
ユズハは、無言で泣きながら、頷いた。
私は、そんな彼女をそっと抱きしめる。
「あきらめては、いけませんわ…」
そう言いながら、彼女の背を、そっと撫で続けた・・・
…最後の言葉は、自分に言い聞かせるためのものでも、あったかも知れませんけど…
それから、しばらくして。
ナ・トゥンクで反乱が起きた、という情報が届きましたわ。
私は主様と契約を果たし、援助も送って頂いて・・
それでも劣勢のようでしたから。
蜜月の旅行も兼ねて、主様と共にあちらへ向かう事に決めたのでした。
途中、ウルトに見つかってしまったのは少し誤算でしたけど・・
仕方ありませんわよね。皆で行くのも、そう悪くはありませんし。
だから・・私もあのコを誘う事にしました。
「・・・・あの・・何かあったのでしょうか・・」
「あら。起こしてしまいましたかしら?」
部屋の前に着いた時、丁度あのコはそこから出てきた所でした。
真夜中なのに気づかれたことに、少しおどろきましたけど。
まぁ、耳がいいこのコのことですしね・・・。
「ユズハ、これから旅行に行く事にしましたの。貴方も・・・行きませんこと?」
「え・・・?でも、ユズハは・・・外、あまり行った事ないですし・・・」
「そうですの・・・でも、思い出を作る場所は、多いほうがいいですわ」
「・・・そうかもしれません。・・・でも・・・」
ユズハが、いいよどむ。
「足手まといになる、とでも、言いたいのかしら?」
「・・・ハイ・・・」
私の問いに、そうですとばかりに頷く。
相変らず、ヒトの事を気にする所は変わらないですのね。
まぁ、それがユズハのいいところなのですけど・・・
「・・・ねぇ。ユズハ」
「・・・ハイ」
「私は、貴方の事、友達だと思ってますわ。」
「・・・え・・・」
少し驚いている彼女を気にせず、続ける。
「私が友と呼ぶのは、何かに惚れこんだ時。年齢とかは、関係ありませんわ。
・・・貴方には私には無い別種の強さがある」
「そんな・・・」
「だからこそ、もっと強くなってほしいのですわ。
・・・大丈夫。主様も、ウルトも、トウカも・・・私もいる。
何があっても・・・貴方に危害を加えさせるようなマネはさせませんわ。
・・・命にかけても、ね。」
「そんな・・・命、だなんて・・・」
「そう、ですわね・・・命の重さは、貴方がある意味誰よりも知っていること。
むやみに口に出していい事では無いのはわかってますわ」
そう、わかっている。
「だからこそ、言うのですわ。私は、それだけの覚悟で、貴方を連れて行きたい、と・・・」
「・・・・・・」
少しの間、無言で。
しかし・・・
「・・・よろしくて?」
「・・・よろしく・・・お願いします・・・」
再び問うと、ユズハは深々と頭を下げてきた。
「・・・アルルゥ。カミュ」
「ん」
「は〜い!」
「あ・・・」
あらかじめ廊下の脇に待機させておいた二人を、呼び寄せました。
「良かったですわね。二人共、声かけといたんですのよ。ウルトが」
まぁ、仲が良いから誘っておいて、と私が言っておいたのもありましたけど。
「さ、用意を手伝っておあげなさいな。急いで、ね」
「ん。すぐ、行く」
「は〜い。わかりました」
促すと、二人はユズハと共に部屋に入って行く・・・
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
『・・・・』 『・・・・!』 『・・・・・・』
後ろの荷台の賑やかさから、うってかわって。
こちら、馬車の前の席には、不満げな顔で、馬に鞭打つ主様と私だけ。
先程から一言も発せず、だんまりを決め込んでいる。
『これ、全部カミュち〜行き〜』
『うぁ〜・・・こんなにィ〜』
後ろから何やら騒ぐ声が聞こえる。
どうやら先程からやっていた札遊び・・・カミュが負けたようですわね・・・
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
『・・・』 『・・・・』 『・・・・・』
「・・・・・・・・・・・・・」
「まだ、不貞腐れてますの?」
「呆れて何も言えんだけだ・・・・・・。
私を巻き込むのは・・・まぁいい。
だが、この子達を巻き込むとなれば、話は別だ」
不機嫌さをあらわに、かえす主様。
・・・悪いですけど、そういうのを不貞腐れるというのですわよ。
まぁ、仰る事は充分、わかってますけれど・・・
「ナ・トゥンクへ行き、叛軍の加勢をするつもりなのだろうが、
それに巻き込むとは・・・」
・・・この調子だと、まだまだ続きそうですわね・・・あら?
見れば、エルルゥが何か言いたげだ。
「・・・・・・・・・」
そして、彼女が口を開きかけた時・・・
「怒らないで・・・」
「ユズハ?」
彼女がかわりに、口を開きました。
「こんなに楽しいの・・・こんなに嬉しいの・・・初めて・・・・だから・・・」
「むぅ・・・」
主様は黙ってしまう。
内心、私には・・・その言葉が嬉しかったのですけれど。
「ハクオロ様、みなさんをお連れしたのは私です。
責めるとしたら、どうか私に」
「むぅぅ・・・」
ウルトの言葉にも、主様は答えられない。
こんな時、主様にはやり返すことができるわけありませんわね。
溜息をつくと、城の方が気がかりなのか、主様はそちらに目をむける。
・・・そういえば、オボロはもうあの手紙を見つけましたかしら?
城のことはベナウィ達が上手くやってくれるでしょう。
一応、彼等にも手紙は残してきましたし。
そちらの方の心配は、全くしてませんでしたわ。
あの子のことと・・・ユズハに少しでもこの旅を楽しんで貰いたいということ。
其の時の私の頭には、ソレ位しかありませんでしたもの・・・
・・・そう。それは、夢。
もう戻れぬ時へと、還れる唯一の方法。
・・・夢の中でなら、あのコは・・・笑ってくれる。いくらでも。
楽しかった、あの頃のように・・・
・・・でも、あのコは・・・今は、もう・・・
『・・・ぅえぇぇぇ・・・』
「・・・う・・・?」
「ふえぇぇぇぇぇぇっ!!」
「あ!」
耳に届いたその声で、目を覚ます。
・・・忘れてましたわ。今日は・・・私がこのコの当番でしたのに。
慌てて跳ね起きると、ゆりかごに手を伸ばす。
「うえぇぇぇ・・・ふぇぇ・・・」
「ごめんなさいね。いま、おしめ替えてあげますからね・・・」
そう言って手早く替えてあげる。
・・・我ながら、上手くなったものですわね。
まぁ、子供はあまり好きじゃありませんけど・・・
あのコの子供だから、話は別ですわ。
『主様が戻ってきた』
その知らせを聞きつけて・・・私が戻ってきた時には・・・
ユズハは、帰らぬ人となっていました。
このコを産んで・・・そして、産後に急に体調を崩して、そのまま・・・
出産の日には、この國に戻ってましたけど・・・
無事に生まれたと。母子共に大丈夫だったと聞かされて、ユズハの顔をみて。
そのまますぐに・・・また、旅に出てしまいましたから・・・
・・・何故、あの時もう少し、留まっていようと思わなかったのでしょうね・・・
後に、戦場への旅の途中、合流したトウカにその報を知らされた時…
私にはもはや、後悔することしか出来ませんでした。
ユズハの子については、皆で当番を決めて世話をする、ということ…
いわば、皆の子と同様に扱う、ということに決めました。
ユズハも多分それを望んでいるでしょうし、ね。
おかげで随分と色々なことを教えてもらって・・・と、そろそろ時間ですわね。
私は、軽く身支度をして、部屋を出ました。
ゆりかごごと、赤ん坊を、抱えて。
・・・今日はもう一つ、私の当番になっているものがありましたから。
「・・・・ご無沙汰ですわね」
そこにつくなり、私は声をかける
。
・・・もちろん、返事が返ってくるはずは無いのですけれど。
「お花・・・摘んできましたわ。それに・・・もちろんこのコも、一緒ですわよ」
そう言って、花を近くに添えてから、赤ん坊を抱えて、近づける。
・・・ユズハの、墓標に。
「あ〜、あ〜・・・」
やはり、何かわかるのでしょうか。
この場所へくると、このコはいつも墓へと、手を伸ばす。
まるで・・そこに、求めるものが、あるかのように・・・
「あ〜、う〜?」
「・・・・・っ・・・」
そんなことが、辛く思えるときは・・・私は、唄を歌う。
このコを、寝かしつける時に、よく、歌う・・・子守唄。
エルルゥから習ったソレは、少し上手くなってきたと、誉められたこともあって・・・
ここに来た時、歌うのがもう習慣のようになってしまっている。
「 〜 〜 〜 」 ― ♪(子守唄ーユカウラー)
墓を前に、唄う子守唄(ユカウラ)。
愛しい、私達の娘へと。
愛した、妹であり、友である貴方へと。
この場所で、捧げるように唄う歌・・・
・・・そう、いつか・・・
私がいつか、貴方の元へ行く日が来ようと。
また別の者が、私達に、この唄を歌ってくれるでしょう。
そうあるように、この唄を。語り継いで行きますから・・・
「・・・ま、んま〜」
「・・・え・・・?」
腕の中から、声がする。
「ま、んま〜。・・まんま〜」
「・・・・・・」
初めてこのコが発した其の言葉に、不覚にも、涙が、零れました。
貴方が、母と呼ぶべきあのコは、もう、いませんのに・・・
何故、そう、そちらへ、手を伸ばすのですの?
「まん、ま〜。まんま・・・」
「・・・っ」
彼女を失った痛みが、また甦ってきて。
私は、腕の中のこのコを押さえつけるように抱きしめました。
・・・そちらに、手を伸ばそうとしているのに、耐えられなかったから…
「・・・まん、ま〜・・・」
その手の先に・・・あったもの(墓標)。
そこに・・・このコには。
母の姿が、見えて・・・いたのでしょうか・・・?
(完)
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