[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック




『わらしべ長者のよーなもの』


それは、ある日のこと。
アルルゥとカミュがいつもの如く、
ユズハの部屋に遊びに行った時のことだった。

彼女は最近、体調が優れず、寝台に伏せったままのことが多い。
この日も例に漏れず、寝たきりだ。

…なので、今日は大人しく引き返し、カミュの部屋で、
本でも読むことに二人は決めたのだった。

「何読もうか?この前のは何か変だったからねぇ…もっと面白いのがいいよね」
「ん」

そう言って、二人は部屋中の本を引っかき回す。
だが、特別コレといって読みたい本は見つからない。

「…何かないかなぁ…つまらないよ〜」
「…ん〜」

途方に暮れる二人。
そこに、エルルゥが何かを抱えやってきた。

「アルルゥ、カミュちゃん。ムントさんがこれ、貴方達にって。
 新しい本らしいわよ」

ばびゅっ!

「きゃっ…」

その知らせを聞き、音速の速さで本の元へと駆け寄る二人。
あっという間にエルルゥから本をもぎ取ると、大急ぎで床に広げ、読み始める。

「もう…いきなりひどいんだから…」
「あ、ゴメンゴメン。あんまり暇だったから…よかったら、エルルゥ姉様も見る?」
「う〜ん…今日はもう、特に用事無いし…じゃ、たまには一緒させてもらおうかな」

エルルゥはそう言ってカミュの隣に腰を降ろす。
アルルゥはというと、待ちきれなかったようで、すでに何頁か読んでしまっていた。

「アルちゃん。エル姉様も一緒読むって。
 カミュも一緒に、もう一度最初から読んでもいいかな?」
「…ん」
「ありがと。じゃ、読みましょうか」
「は〜い」
「お〜」

というわけで、私たちはまた、新たな絵本を読むこととなった…



〔頁、一〕
『昔々、ある所に、「はくおろ」なる若者が住んでいました。
 彼はとても勤勉で、真面目で、頭も良く、非の打ち所の無い人物でした。

  角っぽいものが付いた、変な仮面を被ってはいましたが、
 不思議と人を惹き付ける魅力がある若者でした。

 しかし、彼は毎日毎日せっせと田畑を耕し、
 汗水流して働いているにも関わらず、作物は思う様に実らず。

 その上、せっかく収穫したものも、「肉」の塊のような体型の領主様が来て、
 根こそぎ持って行ってしまうので、とてもではないですが、暮らしていけません。』


「可哀想…」
「でも…何処かで聞いたことがあるような話…気のせいかな?」
「気のせい。ボケた」
「ア〜ル〜ル〜ゥ〜!!」


〔頁、二〕
『そんな毎日が続いたある日、とうとう「はくおろ」は、神様にお願いをすることにします。
 
 「神様、どうか、私の願いをお聞き届け下さい」

 「はくおろ」がそう神棚に願うと、ありがたいことに、本当に神様は出てきてくれたのでした。

 『何事ダ、我ガ空蝉ヨ』

 光輝きながら現れた巨大な某「神様」に、「はくおろ」は、悪びれもせず答えます。

 「いや、このままでは飢え死に間違い無しだ。何とかしてくれないか」
 『力ヲ解放スレバ、ソノヨウナ事、容易イハズダロウ』
 「まだ物語の展開上、正体を明かすわけにはいかないんだ」

 『勝手ニ死ネ』
 「待て待て、待て――い!」

 薄情な神様は、すぐに去ろうとしましたので、「はくおろ」は慌てて引き止めます。

 「今は一介の人間として頼んでいるんだ。助けてくれたってバチはあたらんだろう」

 その言葉に、神様は渋々ながらも、一言お告げを残し、消えます。

 『…今カラ家ヲ出ロ。そして、一番初メニソノ手ニ掴ンダモノヲ、大切ニスルガイイ』と。』


「…何か随分と酷い神様だね」
「それに、何か知り合いっぽいし…」
「ん〜…」


〔頁、三〕
『さて、お告げを聞いた「はくおろ」は、すぐさま行動を開始します。
 …と言っても、ただ家を出て、適当に歩いただけですが。
 
 「ふむ、何か初めに掴んだモノ、か…はてさて…」

 そんな風に、考え事をしていたからでしょうか。
 足元に落ちていた小石にも気づかず、「はくおろ」は転んでしまいました。

 「痛たた……ん?」

 よくことわざにもあるように、溺れる者が掴むものとして、定番なものがあります。
 「はくおろ」も、転ぶまいとして、瞬間的に、傍にあったソレを、
 その手にしっかりと掴んだというか、毟り取ってしまったのに気づきました。

 「藁か……何か役に立つのか?これ」』


「たたないと思うけど…」
「え〜!そんなことないよ。二本あれば、引っ張りっこして遊べるじゃない」
「ん!」
「でも、一本しかないし…誰かに勝負でも挑むの?」
「…う〜ん…それはない…と思う…」


〔頁、四〕
『「痛たっ!」

 少し歩いていくと、道の先で、二人で歩いていた(美人な)旅人のうち、
 一人が小石につまずいて、思い切りこけました。

 「大丈夫ですの?「とうか」」
 「っつ〜…某としたことが…って、あ…」
 
 みれば、「とうか」とやらの草履。鼻緒が切れてしまったようです。
 
「困りましたわね…次の街までは結構ありますわよ?」
 
 たいして困って無さそうに連れの女は言います。

 「心配は要りませぬ、「かるら」殿。…これしきのこと…」
 「あら、では、次の街まで駆け足で行きましょうか」
 「いぃ!?」

「かるら」とやらの目は本気でした。
 見ていて哀れになってきた「はくおろ」は、二人に声をかけます。

 「そこの方。お困りなのでしたら、この藁でも使って直しては如何ですか?」

 神様に言われたことを忘れたわけではないのですが、
 困っている人を見捨てるのもどうかと思い、「はくおろ」は藁を差し出しました。』


「優しいなぁ…流石、おじ様と同じ名前だけあるね」
「ハクオロさん…」
「おとーさん…」


〔頁、五〕
『「ありがとうございます、聖上!この恩は決して忘れませぬ!」

 たかが藁一本にしては丁寧すぎるほど、深々とお辞儀をする「とうか」。

 「私からもお礼を言わせて貰いますわ。主様」

 そう言って、何気なく擦り寄って来る二人。
 何故か、何処となく潤んだ瞳で、「はくおろ」を見つめてきます。

 身の危険を感じた「はくおろ」は、早めに退散することにしました。

 「い、いや…まぁ、その…自分はもう、行くから」
 
 「御待ち下さい、聖上」
 「あ、お待ちになって下さい、主様」

 「「これを…」」

 二人は、「はくおろ」をひきとめると、それぞれに、お礼の品を渡します。

 「先程の街で買ってきた蜜柑です。ご賞味下さい」
 「同じく、先程の街で手に入れた酒ですわ。お試しになって下さいまし」
 「ありがとう。これはありがたくいただいておくよ」

 そんな感じで、「はくおろ」は二人と別れました。
 貰った三個の蜜柑のうち、一個を食べながら歩く彼は、結構幸せそうでした。』

 「「はくおろ」さん…………」
 「……(汗)」
 「…んぅ・・・・・・・」


〔頁、六〕
『「どうした!?大丈夫か、「ゆずは」!」
 
 しばらく歩き、街につくと、いきなりそんな声が聞こえてきます。
 気になった「はくおろ」が、そちらへ行ってみると…

 儚げな雰囲気の、それでいて美しい少女が倒れていました。
 そばには、その子の兄である「おぼろ」と、
 その部下である双子、「どりぃ」と「ぐらぁ」の姿も見えます。

 「どうしました?」
 
 「はくおろ」は、見兼ねてまた声をかけました。
 
 「おお、兄者!「ゆずは」が…倒れちまったんだ!
  あぁ…このままこいつが目覚めなかったら…俺は―――――――!!」
 「「若様、落着いて下さい!」」

 見事な兄馬鹿っぷりでした。
 何故なら、彼女はちょっと熱を出しただけであって…
 …普通にみればわかったはずなのですが…

 そんなわけで「はくおろ」は彼を相手にせず、「ゆずは」に近づき、語りかけました。

 「「ゆずは」、聞こえるか…?」
 「…「はくおろ」さま…?」
 「口を開けて…ホラ、蜜柑をやろう。
  こういった物を食べて、横になっていれば…すぐに治るさ」
 「…ハイ…」

 「ゆずは」は、言われた通りにします。
 そして、「はくおろ」の言う通り、暫くすると熱は下がり、歩けるようになりました。
 
 「すまない、兄者…この恩は忘れない」

 「おぼろ」は、土下座して、礼を尽くしました。

 「…そこまでするほどのことではないだろう。顔を上げてくれ」
 「いや、このままじゃ気が済まない。何か礼をしなければ……そうだ!」

 何か嫌な予感のする「はくおろ」。
 まさに予想通りのことを「おぼろ」は言ったのでした。

 「室に貰ってくれ!!」』


「うわ…」
「ん…」
「―――――――――――――――――――!!(絶句)」


〔頁、七〕
『「あ、「ゆずは」のことだぞ。もちろん」
 「そんなことはわかっている!」

 勘違いした方…いませんよね?

 「いや…こういったことは、本人の気持ち…」
 「私は…構いません。「はくおろ」さまでしたら…(ぽっ)」

 言葉を見事に遮られ、逃げ場の無い「はくおろ」。
 いっそ貰っちゃおうかなぁ…なんて考えていいわけはありません。
 えぇ、いけませんとも。……物語を壊さない為には。(泣)
 
 「…いや…私には、まだ住む所も無い。
  せめて、自力で暮らせるようになってから、返事をさせてくれないか?」

 というわけで、「はくおろ」は、上手くかわして、返事を保留しました。

 「そうか…残念だ。では、代わりに何か…んじゃ、この爆薬でも」

 なにやら物騒な物を出して、「おぼろ」は「はくおろ」に持たせます。
 あんまり嬉しくはありませんでしたが、
 受け取らないと次に何を渡されるか解らないので、しかたなく貰っておきます。

 こうして、「はくおろ」は、「おぼろ」一行とも別れたのでした。』


「…………………………………………」
「こ、怖い!エル姉様、怖いよ―――!!」
「ん〜!」


〔頁、八〕
『そしてそれからしばらく進むと、今度は道の端っこ、白い馬(うぉぷたる)のそばで、
 なにやら美しい金の髪の女性が、おろおろしているのが見えました。

しかも、またもや美女だったりします。
 
 「どうしましょう…これでは、隣町まで連れて行くなんて、とても…」

 馬は怪我して転倒しており、傷口から今なお血が溢れ出していました。
 女性は、酷く慌てていて、傍に「はくおろ」が近づいていった事にも、気づかないようでした。

 なお、羽があることはあるのですが、
「それで飛んで、人呼んでこいよ…」というツッコミは遠慮させて下さい。

 「どうかしましたか?」
 「あっ…!?「はくおろ」皇!?」

 馬の様子がおかしいと見て取るや、「はくおろ」は、そちらの方に向かい、
 軽く診察してみました。
 
 …どうやら、足を少し擦り剥いていて、そこから何かしらの菌が入ってしまったようです。
 
 「とりあえずは、消毒をしなければ…」
 
 先程貰った酒を取り出し、患部を洗う「はくおろ」。
 しかし、傷口はすでに化膿しており、助かるかどうかは、難しい所でした。
 
 「どうかお願いします。神様…この者の命を、御救い下さいませ…」

  馬のために、祈りを捧げる彼女、「うるとりぃ」を見て、
 「はくおろ」はあることを思いつきました。』


「…何だろ?」
「さぁ…?」
「ん〜?」


〔頁、九〕
『「神様、どうか私の願いをお聞き届け下さい」

 少し離れた草叢まで来ると、彼はまた先程と同じように、祈って見せます。
 すると、また「神」は姿を見せました。

 『マタカ…何用ダ。我ガ空蝉ヨ』
 「馬が死にかけているんだ。助けてやってくれ」
 『デハナ』
 「待て待て!帰るなというのに!」
 『我トテ暇デハ無イノダゾ、空蝉』
 「私もそうだが、祈っているのは彼女だ」

 そう言って、「はくおろ」は、「うると」の方を指差しました。

 『ホウ…ナラバ、『契約』ヲ交ワセバ良イデハナイカ』
 「『契約』…!?」
 『ソウダ。何ナラ我ガ行ッテモ良イゾ』
 「なっ!?」
 『汝ガ穢レ無キ魂ヲ、我ニ捧ゲヨ…』
 「や、やめろ―――――っ!」
 『モウ遅イ。女ガ今、目前ニ居ル。ドウシテ押エキレヨウカ!』
 「それぐらい押えんか!」


 ―――――――――――――――――――――

 ゾクッ…

 (…何か…今、良からぬ気配を感じたような…気のせい、ですよね…?)

 「うると」は、不意に感じた悪寒に辺りを見回しますが、
 何もないと確認すると、また祈りを再開しました。

 ――――――――――――――――――――――


      「やはり我等は…」
     『相容レルコトハ無イ!』


 [ 〜戦闘、でぃー 対 はくおろ 〜 ]

  
    (以下、一刻程経過...)

 
   [ 「はくおろ」、勝利! ] 』


「そりゃ、負けてちゃ話が終わっちゃうけど…」
「何か…ねえ…」
「ん〜」


〔頁、十〕
『気がつくと、夜が明けようとしている所でした。
 「うると」は眠っています。
 それを確認すると、「はくおろ」は、そっと馬に近寄り、傷を消しました。

        * * * * * *


 翌朝、馬の傷が治っているのを確認し、彼女はひどく喜びました。
 そして、傷の消毒をしてくれたお陰だと、「はくおろ」に礼を言います。

 「ありがとうございました。この御恩は忘れません」
 「いや、そんなにお礼を言われるほどのことはやっていないよ」
 「ですが、やはり何かお礼をしなければ…そうだ。この馬、貰って下さいませんか?」
 「え?だが、ぞれは…」
 「いいんです」
 
 悲しそうに俯く「うると」。
 
 彼女の話によれば、この馬は元々彼女の上司のものだったといいます。
 上司のことを鬱陶しく思った皇に処分するよう言われたが、
 とてもそんなことは出来ず。

 せめて街で売ろうと考えたが、途中で怪我してしまった、というわけだそうです。

 その話を聞き、次の目的地を決める「はくおろ」。
 そう、その皇の屋敷に行って、懲らしめてやろう、と誓ったのでした。』


「悪役登場の予感!ワクワク」
「…何か、その「悪役」って…想像つくんだけど…」
「んぅ?」


〔頁、十一〕
『「うると」から馬を受け取った「はくおろ」は、
 早速その「皇」の屋敷へ向かいます。

 今は、その「皇」の我儘(わがまま)で、引っ越す準備をしているそうですが…
 「うると」から聞いた所によれば、「皇」は、上司とその部下一名に、
 荷の処理を全てやらせているそうです。

 馬を、という命令も、使わなければますます大変になるのを見越してのことでしょう。
 いつの世も、自分より下の者で、優れた部下は気に入らない、等という
 馬鹿な輩はいるものです。

 これはもう明らかに、イビリ以外の何物でもありません。

 実際、屋敷につくと、その話通り、何やら筋肉質な大漢と、 
 堅そうな印象の若い漢が、必死で荷物を運んでいました。』


「ひっどーい!」
「うん…でも、何処かで見たような人の絵…」
「…べナクロ?」


 〔頁、十二〕
 『…ふと、戸口で立っていた「はくおろ」と、堅漢「べなうぃ」の目が合います。
 
 「……ししぇ…?」

 「べなうぃ」は、思わず肩に担いでいた荷物を落とし、
 「はくおろ」達の方へかけよりました。
 
 「ししぇ…無事だったのですね…良かった…」
 
  すり すり …

 「ししぇ」の方も、「べなうぃ」との再会を喜んでいるのか、
 彼の方へ額を摺り寄せます。

 「そ、その馬は…お前、何者にゃも?何処でその馬を手に入れたにゃもか?」

 声のした方を見れば、丁度、部屋から噂の「皇」らしき人物が出てきました。
 
 …というか、本当に人間なのかすら疑わしい体型でしたが。
 髪も変で…どうやら、育毛剤のことで口出しした「べなうぃ」を逆恨みしている、
 との「うると」の言は真だったようです。

 「はくおろ」の作る作物を召し上げまくっている「肉」領主の姿も見えました。
 
 「私は旅の者です。この馬は途中で怪我していたのを手当てしたのですが…
  まさかこんな所で、持ち主の方に逢えるとは思いませんでした。
  家を変えるのならば、馬は入り用でしょう。どうぞ御使い下さい」

 しれっ、と言う「はくおろ」。

 「聖上、こちらの方は私の愛馬を連れ戻して下さったのです。
  何か褒美を取らせて頂きたいと思いますが、如何ですか?」

 何処か辛辣な口調で、「肉」皇につめよる「べなうぃ」と、その部下「くろう」。

 「う、く…まぁ、いいにゃも。朕は心が広いにゃも」

 その迫力に呑まれてか、「肉」皇は、とんでもないことを口走ってしまいました。

 「そうにゃもね…では、この屋敷を暫く貸してやるにゃも。
  もし朕が帰って来なかったら、好きにしていいにゃもよ」

 と、まぁ…そんなことを、物陰からこちらを見つめる六様の視線に気づくことなく、
 言ってしまったのでした。

 それは、自らへの死刑宣告と全く変わりがありませんでした。』


「…六様?」
「六種類、ってことね」
「あれ?一人足りないような…」


〔頁、十三〕
『…これはその後、「肉」皇兄弟が屋敷を出て、暫くしてのことでした。

 「…「べなうぃ」。その格好は一体…?」
 「…止めないで下さい、聖上。漢には、やらなければならない時があるのです」
 「そうっす、総大将!」

 「…止めはせんが…ならば、これも持って行け」
 「こいつぁ…?」
 「…わかりました。では、行って参ります」
 「うむ…ではな」

  そんな会話を交わすと、「べなうぃ」達もまた、屋敷を出て行ったのでした。』


「な、なにをする気なのかな」
「「これ」って…なんだろう…」
「ん〜…」

         * * * * * *

 「ぶはぁ―――――――っ。全く、面白くないにゃもね。
  あの仮面男…余計な真似をしてくれたにゃも」

 場面は変わって、こちらは馬車の中。
 もう既に暗くなった道を、新たな屋敷へと、「肉」兄弟は走っていました。
 
 「確かにそうにゃぷね…しかし、何故兄上はあんなヤツに屋敷を任せたにゃぷか?」
 「ぷふん…もちろん、ただでくれてやったわけじゃないにゃもよ。
  新しい屋敷に着いたら、兵を向かわせて…中にいる3人ごと焼き払わせるにゃも。
  そうすればやかましい「べなうぃ」共々、男も黒焦げにゃも」
 「にゃぷぷ…そういうことにゃぷか。流石に、兄上は悪にゃも」
 「そういうことにゃも。陰謀は貴人の嗜(たしな)み…おみゃーもしっかりせんといかんにゃも」
 「そうにゃぷね…にゃぷぷぷぷ」

 「「吐き気のする会話はそれまでにするんだな」」

 「にゃぷ?」「にゃも?」

 不意に聞こえたその声に振り返れば、盗賊っぽい漢と、侍っぽい女性が…
 馬車と同じ速度で、御者台の二人の脇を走っていました。

 「「おおおぉぉぉぉ!!」」

 そして、雄たけびを上げると同時に、車輪に一撃を加え、破壊します。

 「にゃぷー―――!!」「にゃもっ!!」

 突然の出来事にわけのわからぬまま、二人は外に投げ出されました。
 なお、脂肪が衝撃を吸収して、怪我はなかったことを付け足しておきます。

 ただ、悲惨だったのは、それからでした。
 
 それから二人は追われ、別々の道を逃げることにしましたが…
 にゃぷにゃぷ言ってる「肉」の逃げた方には「うると」と「かるら」が待っていて…

 詳しくはかきませんが、ある方に習って書くならば、



              血の海



  という状況だったそうです。』



「うわ…」
「…これは…」
「相手、悪過ぎ」


〔頁、十五〕
『で、にゃもにゃも言ってた方の「肉」はどうなったかと言いますと…

 「にゃ、にゃも…ここまでくれば………にゃもっ!?」

 森の中、逃げている最中…突然感じた凄まじい殺気に振り返れば…
 
 「貴方を殺します」的な強烈な鬼気を纏った、白馬に乗った皇子…
 ならぬ、白ウォプタルに乗った侍大将(オムツィケル)が居たのでした。(+一名)

 何故か、怒りをそのまま出したような、「鬼」の面を被った其の姿は…
 ハンパじゃない恐怖感でした。

 で、まぁ…その後の展開は…

 

 『某「神」の右腕攻撃』×1000 の威力



 みたいな感じだったらしいです。
 後から盗賊っぽいヒトや侍っぽいヒトも追いついてきましたので。

 なお、何故か地響きがし、雷が鳴り、炎が燃え上がり、
 天変地異のような現象が連続して起こったその山を、
 人々は恐怖をこめて、「うづきやま」と呼んだといいます。

 なお、翌朝、一際大きな爆音が鳴り響いたのを最後に、
 山は元の静けさを取り戻したそうでした。』


「…この山の名前…どっかで聞いたような…」
「なにか、不味い気がするんだけど…」
「んぅ…」


〔頁、十六〕
『そして、約束通り、屋敷の主となった「はくおろ」。
 彼の元に、旅の途中で出逢った者達が訪ねてきて、
 一緒に暮らすようになったのも、そう日がたってからのことではありませんでした。

 …というか、本当に一日もかかってないですし…(汗

 そして、皆で本当の家族のように、幸せに暮らしたのでした。

 「はくおろ」は、不意に、(自分が倒した)神様のことを思い出します。
 
  (最初に手にしたモノを、大切にするがいい)

 そう。手にしたモノ、とは、今の、こういった時ではないでしょうか。

 「はくおろ」は、そう思うと、願わずにはいられませんでした…

 「――――――――」

                 (おしまい)』


「……」
「…カミュ達だけ…いない」
「最後の絵…幸せそうなのにな…」

「……ん」

寂しそうなカミュにエルルゥ。
アルルゥは、そんな二人に向かって、「何か」を差し出した。

「え?これって…」
「これを使って、…ってこと?」
「ん」
「そっか…そういうのもいいかもしれないね」


     * * * * * *


「エルルゥ、いるか?」

それから少し経って、政務を終えたハクオロが入ってくる。…が。

「…寝てしまっているのか。アルルゥやカミュまで……ん?」

傍にある絵本に気づき、めくって見てみるハクオロ。

「………」

そして、最後の頁を見、苦笑する。

笑顔に満ち溢れた、幸せそうな、絵。
其の中に、決して上手くは無いのだが…
笑った三人の、眩しいまでの笑顔が描かれていた。

そして、ハクオロは、絵本の中の自分が、最後に願ったことを、呟く。

「『この幸福(しあわせ)を、いつまでも…』、か…」

                  (完)   



戻る