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始めまして、夢幻夢想という者です。
今までは見ているだけだったのですが、
ふと「うたわれるもの」キャラでパロディーをやってみたくなって
書き込みをすることにしました。
私はどちらかというとパロディーにする方が好きなので、
これから書き込みをするにしても
恐らくは何らかの話のパロディーになると思います。
では、拙い文章ではありますが、どうぞ。
パロられるもの1 シンデレラれるもの
シンデレラれるもの -1-
配役
王子様・シンデレラの父親(二役)… ハクオロ
シンデレラ … エルルゥ
シンデレラのおばあさん … トゥスクル
継母 … カルラ
義理の姉1 … カミュ
義理の姉2 … ユズハ
義理の姉3 … アルルゥ
お城からの使者 … ウルトリィ
魔法使い … ウィツァルネミテア
御者 … クロウ
シンデレラに想いを寄せる貴族 … ヌワンギ
大臣 … ベナウィ
王子の側近1 … オボロ
王子の側近2 … ドリィ
王子の側近3 … グラァ
王子の護衛 … トウカ
エキストラ … 残りの方々
警備隊長 … ゲンジマル
ナレーション … サクヤ
昔々のそのまた昔――
とある国に、一人の女の子がいました。
その女の子は黒く、長い髪をした可愛らしい美少女でした。
大きなお屋敷に住み、優しいお父さんとおばあさんに育てられた女の子は、
なにひとつ不自由なく幸せな暮らしをおくっていました。
ところが大好きなおばあさんが、突然死んでしまったのです。
「ちょいとお待ち。ワシはセリフなしなのかぇ?」
すみません〜。なしなんです〜。
「やれやれ…。」
すみません、すみません〜。
あ、は、話を戻しますね。
えっと、お父さんは、悲しみ泣き暮らす娘のために、新しいお母さんを迎えました。
ところが、継母は、言葉づかいは丁寧ですが、酒に目がなく、毎日毎日飲んで暮らし、
「♪酒菜酒菜酒菜〜♪」
と、あまり歌詞を書くと某音楽協会にお金を払わなくてはならないだろう歌を歌い、
シンデレラのお父さんによくからんでいました。
くわえて3人の連れ子がいて、
その連れ子達もシンデレラのお父さんにまとわりついていました。
「あるじ様。」
「おじさま。」
「ハクオロ様…。」
「おと〜さ〜ん。」
べったりの4人に、お父さんっ子のエルルゥは気に食わなかったのですが、
シンデレラのお父さんは、まんざらでもないような表情でかまっていました。
継母と3人姉妹は、女の子があまりにもからかいがいがあるので、
お父さんの目を盗んでは執拗にからかっていました。
「ハクオロさん、お茶を…。」
「あるじ様、お茶ですわ。(ぼそっ)ホッコモッコにヘラペッタを入れた特製の…。」
「あれ?ハクオロさん、小指に何かが…。」
「ああ、これか?ユズハがおまじないだと言って髪の毛を結んでくれたんだ。」
「あ、エルルゥお姉様。」
「どうしたの、カミュちゃん?両腕を組みながら走ってきて。」
「走ると胸が痛くて…。」
「今日の家計簿つけなきゃ…えっと…
『お姉ちゃん、おと〜さんの名前呼びながら体くねらせてた、怖い。』
…って、アルルゥ!」
「エルンガーが怒った!」
…恐らく真ん中の2人は悪気はないのでしょうが、
とにかく、女の子はからかわれていました。
ほどなく、お父さんは死んでしまいました。
その死因は不明ですが、十中八九、心労と過労だと思われます。
娘にはプレッシャーをかけられ、継母と姉妹とは夜のお勤めが大変だったようですし…。
こ、こほん。
と、とにかく、シンデレラのお父さんが亡くなったのをこれ幸いと、
継母は食費に生活費のほとんどをつぎ込むようになりました。
そのためにお手伝いさんは解雇され、
代わりに女の子が全ての家事をまかなうようになりました。
なぜなら継母と3人姉妹は家事ができなかったからです。
くる日もくる日も無駄に広いお屋敷を掃除し、欠食児童の食事を作る日々が続きました。
つらい3K仕事――
あ、3Kというのは、くさい、きたない、くらい、の頭文字の3つのKで、
そういったみんなが嫌がる仕事はこう呼ばれるんですよ。
――をこなしているうち、女の子はかまどの灰でうすよごれ、
いつしかフランス語で「灰まみれの娘」という意味で「サンドリヨン」、
いまいち分かり辛いので、英語で「シンデレラ」と呼ばれるようになりました。
へぇ〜。そういう由来があったんですねぇ〜。勉強になりました。
シンデレラれるもの -2-
ある日、お城から使者がやってきました。
背中から羽が生えた、流れる蜂蜜のような金色の髪の毛のきれいな女性です。
義理の姉の1人であるカミュに似ているような気もしますが、
気のせいということにしておいて下さい。
「実は、今晩お城で舞踏会が催されます。」
「それって、お城の王子様の結婚相手を見つけるために、
国中の若い娘が招待されるのではなくって、ウルト?」
「ええ、そうです。流石はカルラですね。」
「そうなの?じゃあ、カミュ達も行けるんだね!」
「ユズハも…いいのですか?」
「一緒にいく。」
掃除をしていたシンデレラもその話を聞いていました。
「わたしもお城に行きます!」
「あら?シンデレラ、あなた、掃除は終わりまして?」
「ええ。もちろんすべて終わりました。」
「そうですの?どれ?」
継母はそう言うと、窓のサンを指で、すっ、と撫でる。
「これは何ですの?」
そう言いながら継母は指をシンデレラに見せました。
その指は真っ黒に汚れていました。
「ええっ?そんな?」
シンデレラは慌てて自分も窓のサンを指で撫でました。
すると、やはり真っ黒に汚れてしまいました。
(そんな…ここはさっき拭いたばかりなのに…。)
慌てて拭き直すシンデレラ。そのシンデレラに、継母は再び声をかけます。
「ここも、汚れているようですわね。」
声のした方を見ると、継母の立っている床のすぐ横は、泥が上がっていました。
「え、ええっ?」
「まったく、お掃除くらいきちんとなさいな。
きちんと全部終われば連れて行って差し上げてもよくってよ?」
そう言い残すと継母と姉妹はお城に行く準備をしに行きました。
シンデレラは窓を拭き終わると、すぐに床の掃除にかかりました。
(おかしい…。さっきまではなかったはずなのに…?)
疑問に思いながら掃除するシンデレラ。
その時、視界の隅に何かが動いたように思えました。
見てみると、そこには脚に泥をつけたまま歩くムックルとガチャタラがいました。
しかも、よく見ると何かを引きずっています。
「あーっ!それはわたしの一張羅!こらーっ!」
怒鳴りつけながらムックルとガチャタラに駆け寄っていくシンデレラ。
その殺気、いえ、気迫に驚いたのか、シンデレラの一張羅を放して慌てて逃げていきます。
ですが、シンデレラの一張羅はずたぼろになっていました。
「あらあら。それではお城には行けませんわね。」
いつの間に来たのか、継母がシンデレラの背後に立っていました。
「と、言うわけであなたは大人しくお留守番なさって下さいな。
行きますわよ、みなさん。」
「シンデレラお姉様、残念だったね。」
「シンデレラ様、何と言えばよろしいのか…。」
「いこ。ムックル、ガチャタラ」
呆然としたシンデレラを置いて、継母と姉妹は、ムックルに乗ってお城に行くのでした。
シンデレラれるもの -3-
ぼろきれのようになってしまった一張羅を握り締めて呆然としていたシンデレラでしたが、
突然、頭の中に声が聞こえました。
『娘ヨ・・・』
「だれ…?」
顔を上げ、辺りを見渡すシンデレラ。
『助ケテ欲シイカ?』
「誰なのっ!!」
『我ハ魔法使い。汝ノ願イ・・・叶エテ欲シイカ?』
「お願いっ、わたしを助けて。」
『ナラバ、ソノ体、魂ニ至ルマデ我ニ捧ゲルカ?』
「えっ?」
『汝ノ全テヲ捧ゲルカ?』
「え、えっと…。確か、無償で願いをかなえてくれるんじゃ…?」
『ソノヨウナコトハ知ラン』
「し、知らないって…。」
『ソモソモ無償デ何カシテモラオウトイウ、ソノ根性ガ間違ッテイル。』
「え、えっと…、その…。」
『ドウシタ?用ハナイノカ?
ナラバ、ソコデ汝ノ愛スル男ガ継母ヤ姉妹ニ取ラレル様ヲ存分ニ見テイルガイイ』
「えっ?」
魔法使いのその言葉に、シンデレラは、ピクッ、と反応します。
『ソシテオ前ハ一生ソノママデ過ゴスノダ』
「…待ちなさいよ…。」
『何ダ?』
「待ちなさいって言ってるのよ!」
シンデレラのその言葉に、魔法使いの声もどこか、ビクッ、としたような感じでした。
「大人しく聞いてたら、人の弱みに付け込むようなことばっかり言って…。」
『イ、イヤ、コレハ都合上・・・』
「うるさいわね!ええ、いいわよ、いいでしょう!
あんたなんかの力を借りるまでもないわ!
わたしが、わたし自身の力で何とかします!
だからあなたになんか用はありません!
とっとと行って下さい!どこへでも!
引き止めてすみませんでした!」
『ソ、ソンナコト言ワレテモ、我ハ契約シナイト、力ヲ使エナイ・・・』
魔法使いの声をシンデレラは無視して、握り締めていた一張羅を改めて見ます。
「これなら直せるかも…。そうね。何事もやってみないといけませんよね。」
『ア、アノ・・・』
「もう、邪魔です!早くどこかに行って下さい!」
シンデレラの気迫に、魔法使いの声は半ば泣き声で話し掛けました。
『ワ、ワカリマシタ・・・ドウカ、ワタクシメニ、オ世話ヲサセテ下サイ・・・』
「わかればいいんですよ、わかれば。」
魔法使いはシンデレラに敗北したのでした。
シンデレラれるもの -4-
『デ、デハ、次ノモノヲ用意シテ下サイ
大キナもろろヲ1個、とかげヲ4匹、きままぅヲ1匹・・・』
「はい、用意出来ました。」
『ズ、ズイブン早イナ・・・』
「用意してましたから。」
ほとんどの料理番組である、『ここにその過程を終了したものがあります』
といった感じですね。ちなみにシンデレラの原作で用意するものは、
カボチャ1個、ハツカネズミ4匹、トカゲ1匹です。
『デハ、ソノ用意シタ・・・』
「玄関先にこれらを地面において、わたしもそのそばに行くんでしょう?
早く魔法で馬車とウマと御者にして、わたしもドレスアップしてくれませんか?」
やけに手順を知っているシンデレラですが、その辺りはツッコまないで下さい。
『・・・モウ、何モ言ウコトハナイ・・・』
もはや投げやりな感じで魔法使いはモロロを馬車に、トカゲをウマに、
キママゥを御者に変えました。
更には、シンデレラも姿が変わっていました。
「アノ…魔法使いサン…。」
『何カ?』
「ワタシ…ミコトの姿にナッテるんですケド…。ト、言うカ、喋り方マデ…。」
『知リ合イニ見ラレテモ判ラナイヨウニシタダケダガ?』
「マア、確かニそうカモ知れまセンケド…。」
「ねえ、それよりも姐さん…。」
「ドウシたんですカ?クロウさん。」
「どうしてあっしがキママゥの変身した姿なんですかい?」
「ウマに乗ってイル人で、適当ナ人ガ他にいなかったカラじゃナイんですカ?」
「ひでぇや…」
しくしく…
御者が何やら悲しんでいますが、個人の感情は置いといて、
シンデレラは馬車に乗り込みました。
「サア、お城に行きまショウ!
ドウセ0000時を過ぎタラ魔法ガ切れるんでショうカラ、早く!」
「へい…」
涙を流しながら御者は馬車を出発させます。
その時、馬車の前にビシッと姿をキメた1人の貴族の男が姿を見せていました。
その男は昔からシンデレラのことを想っていたヌワンギという男でした。
「シンデレラ、今日もあの継母や姉妹にいじめられてるんだろうな、かわいそうに。
今日こそはシンデレラを俺様の嫁に迎えよう!
そう!プロポーズするんだ!」
そんなことを想いながら歩いていたためでしょう、
目の前の馬車に全く気付いていませんでした。
ドガァッ
「ごぶぅっ!」
貴族の男はものの見事に、豪快なまでに馬車に撥ね飛ばされました。
「あれ?今、何か変なモンを豪快に撥ねたような気がするんですが…?」
「気ノせいデショウ。そんナことヨリ、早くお城ニ行きまショウ。」
馬車は気付くことなくお城へと一直線に走って行きました。
後には、血だらけの貴族の男が残されました。
「シ、シンデレラ…俺は、お前に…、プ、プロポーズを…しなきゃ…。がくっ。」
貴族の男は何やら呟いたあと、事切れたようですが、話とは関係ないので無視しましょう。
それを見送りながら、魔法使いはどこか優しさのこもった声で呟きます。
『我ノ出番ハ・・・ココマデダナ・・・』
目の前で起こった惨事を気にしろよ、とか、
貴族の男の願いをかなえてやれよ、とかいったツッコミはなしです。
シンデレラれるもの -5-
お城では、思い思いに着飾った娘達が大広間につどっていました。
本気で「王子様のハートをゲットだぜ!」と某ポケモンのように狙っている者や、
ただ単に冷やかしで来ている者など、その目的は様々です。
宮廷お抱えの交響楽団が奏でる音楽が、明るい広間に流れていました。
曲目は「うたわれるもの」です。
「何と言うか、随分とベタな…。」
この舞踏会の主役、ハクオロ王子が言いました。
その顔には、角のようなものがついた白い仮面をかぶっているのですが、
どことなく優しそうでいて、惹かれるものがある不思議な人物です。
「聖上、気に入った娘はいましたか?」
ハクオロ王子の隣にいた大臣のベナウィが王子に尋ねます。
文武両道に優れた、この国になくてはならない人材です。
ちなみに普通、王子に聖上とは言わないのですが、その辺は見逃して下さい。
「それがなかなか…。」
「そうですか。
まあ、何にしても、聖上の花嫁です。お好きなようにお選びになって下さい。」
「そのつもりなのだが…。」
「それは良いことです。ですが、誰でも良いというわけではありません。」
ベナウイ大臣は真面目な顔になって言います。
「花嫁に、浪費家や日和見主義者はいけません。
例えばあの3人姉妹の母親のように国の金で酒を飲み放題、
などと思っているような人物はいけません。
また、そのような家族のいる娘も考えものです。
後、高度な教育を受けている方が望ましいですね。」
「いや、確かにそれはそうかもしれんが…。」
「とにかく、私としては、将来の王妃が国政に害を及ぼさないことが第一です。
従って、この際、社交性はさして重要ではありません。」
「なら、こんな大層な舞踏会など開かなくとも…。」
「私もそう思いますが、これは前からの慣習なのです。
少なくともどこかの王のように育毛剤に国の金をつぎ込むよりは、
民のためになって良いと思われますが。」
その具体的な例の王は誰なんだ、と突っ込みたいのはやまやまでしたが、
まあ、にゃもにゃも言う誰かだと想像つくので突っ込むのはやめました。
「以上を踏まえた上で、聖上、めぼしい女性は見つかりましたか?」
「うーん…そうだなあ…。」
そんなことを呟くハクオロ王子に、側近の一人であるオボロが話し掛けます。
「なあ、兄者。あの子なんてどうだ?
ほら、あの、3人姉妹の、どこか儚げで、清楚な感じのする、流れるような黒髪の子。」
「うむ。私もいいとは思っているのだが、体が弱そうで、
果たして子供を生んでも、あの子は生きていられるかどうか心配でな…。」
随分と具体的なことを言うハクオロ王子ですが、まあ、気にしないで下さい。
ちなみに、その3人姉妹のうちの真ん中を抜かした2人とその母親はテーブルに陣取り、
食べ物や酒を凄まじい勢いで消費していっていました。
話になっているユズハは、なぜかその姿が見えませんでした。
不思議に思っていると、第2、第3の側近である
ドリィ、グラァの双子がオボロに同時に答えます。
「「若様、ユズハ様ですが、何やら体の調子が悪いらしく、
風通りの良い場所でムックルに寄りかかって寝ていました。」」
「何?それは大変だ!兄者、俺はユズハの様子を見てくる!」
「「僕らも行きます!」」
慌てて、ハクオロ王子の側近であるはずのオボロ、ドリィ、グラァは
ユズハの元へ行ってしまいました。
「行ってしまったな…。」
その様子を呆然として見ていたハクオロ王子でしたが、背後から声が掛けられました。
「聖上。ご安心を。某が護衛をしておりますゆえ。」
そう言ってきたのは護衛のトウカでした。武門に優れたエヴェンクルガの戦士です。
「あ、ああ。頼りにしているぞ。」
「ハッ!」
(疲れる…)
かたぐるしい返事を返し、トウカは護衛の任務に当たるのでした。
シンデレラれるもの -6-
舞踏会も盛り上がってきた頃、広間にいた人々の間から、静かなざわめきが起こりました。
「おお、何と美しい娘であろう。のう、サクヤ」
あ、あの、あたしはナレーションしているんで、話し掛けないで下さい、クーヤ様。
「どこの貴族の娘さんなんだろうねえ。」
「ダァッハッハッハッ!どうせもう少し年とったら、かあちゃんみたいに…ごぶっ!」
ひそひそとささやき合う人垣の群れが、さながらモーゼのごとく2つに分かれていきます。
その中から1人の娘がしずしずとハクオロ王子の前に進み出ました。
その娘こそ、魔法使いの魔法で変身したシンデレラでした。
「(ぽそっ)ホントに変身なんですケドネ…」
「ミコ…ト…。」
その姿を見て、ハクオロ王子は信じられないものを見るように、
しかし、優しい眼差しで見ていました。
絹の風合いを持つ純白のドレス、緑がかってはいるけど黒いつややかな髪、澄んだ瞳、
くもりひとつないなめらかな肌。それはつつましく、たおやかな乙女でした。
「初めマシテ、王子サマ。」
シンデレラは軽く目を伏せて、行儀よくお辞儀しました。
その可憐な姿に、ハクオロ王子は感動していました。
「ミコト…きれいだ…。」
せつなそうに呟き、感動のあまり目も潤んでいました。
下手をすると、そのまま身も世もなく、18禁の世界に突入しかねない気配です。
まあ、元が18禁だからいいんじゃないか、という意見は却下させていただきます。
予想外のハクオロ王子の反応に、シンデレラは一瞬、思い切りたじろぎました。
まさかこんな反応をするなど誰も予想できなかったでしょうから。
「ア、アノ、そノ、王子サマ。ワタシと、踊っていただケまセンカ?」
そう尋ねると、夢見心地のハクオロ王子はこくりと頷きました。
「ああ…踊ろう、ミコト…。」
「イエ、そノ。アノ。ワタシは…。」
「ミコト…ずっと、会いたかった…。」
シンデレラの美しさに骨抜きになってしまったハクオロ王子は、
もはやすっかりダメになっていました。
例えるなら、レベル1のままで 戦闘21 アヴ・カムゥ を戦っているかのように、
もはや相手のされるがまま、といった感じです。
下手をすれば相手が一発手を出しただけで
サンキュージーザス、天罰てきめんゴートゥーヘル
といった感じです。(どんな感じなんでしょう?)
広間に流れる曲も、「うたわれるもの」から、「子守唄〜ユカウラ〜」に変わり、
王子様とシンデレラは踊ります。
まわりの人達も2人の踊りをほれぼれと見ていました。
王子様も、シンデレラも、幸せいっぱい、2人の世界でした。
一方、大臣のベナウィはチキナロを呼び、
『あの娘の経歴、背後関係を調べなさい。あとで尾行も忘れないように。』
などと指示をおくっていました。
その様は、流石ベナウィ、としか言いようがありませんでした。
シンデレラれるもの -7-
大広間の音楽は、休むことなく続き、
とうとう、
うたわれるものサウンドトラックを買わなくても全てを聞き終えることが出来る、
というところまで来ていました。
あまりにも楽しかったため、シンデレラは時間が経つもの忘れて踊っていましたが、
12時の鐘が、リンゴーン、リンゴーンと鳴り始めました。
「アッ!」
シンデレラは青くなり、魔法使いの言葉を思い出していました。
(コノ魔法ハ、12時ヲ過ギルト、自動的ニ解ケル)
『チョット待テ!我ハソンナコト言ッタ覚エハナイゾ!』
何やら頭の中で魔法使いの声が聞こえた気もしましたが、当然無視です。
このままではみんなの目の前で魔法が解けて、大恥をかいた上に
お城の警備兵達に捕まってしまうでしょう。
踊りを止めたシンデレラをハクオロ王子は不思議そうに見つめました。
「?どうしたんだ?」
「ア、アノ、ワタシ、博士のところニ帰らないト。
王子サマ、とても楽しカッたデス。デハ、サヨウナラ!」
ミコトでなければ知らないはずの人物の名前を出したにも関わらず、
そんなことは気にも留めずにシンデレラは素早く身をひるがえすと、
とても人間には出せないようなスピードで大広間を抜け、
大きな廊下を突っ切って、階段まで駆けて行きます。
「ま、待ってくれ、ミコト!」
ハクオロ王子が後を追ってきました。その速度も人間の速度とは思えません。
村でディーと人外の速度で戦いを繰り広げた時のようなスピードです。
「モウッ、走り難イデス!」
シンデレラは走るたびに顔に当たる丸いわっかの様な髪飾りを取ります。
なお、シンデレラのはいていたガラスのクツはヒールが低くて
パンプスのような靴なので走る邪魔にはなりませんし、
強化ガラス製なのでどんなに酷使しても壊れることはありません。
髪飾りを投げ捨てると、シンデレラは改めて猛ダッシュします。
その速いこと速いこと。こうなると瞬間移動でもしないと追いつけません。
「やるか…。」
ハクオロ王子は真剣にウィツァルネミテアの力を使おうと思っていましたが、
それをやると話にならないので止めることにしました。
なので、代わりに警備兵を呼びました。
「警備兵!誰かあの娘を止めろ!」
ハクオロ王子の声に警備兵がシンデレラの前に立ち塞がりました。
ですが、伊達にあらゆる家事をしてきたシンデレラではありません。
立ち塞がる警備兵をバッタバッタと薙ぎ倒していきました。
後もう少しでお城から抜け出せる、というところで、一人の男が立ち塞がりました。
その男は城の警備隊長であるゲンジマル。
エヴェンクルガの戦士で、すでに生ける伝説ともなっている人物です。
「ここを通すわけには参りませぬゆえ。」
ゲンジマルは刀に手をかけて威圧します。
その力を見て取ったのか、シンデレラも立ち止まりました。
「悪いノデスガ、ワタシもココを出なくてハならナイのデス。」
シンデレラは構えを取りました。拳を引くだけではなく、腰を捻り、力を溜めます。
(む? あの低い構え……ギリヤギナの王と同じ……)
(いや、こちらの方が更に低く、捻れている)
シンデレラのその構えは堂に入っていました。
まるで獣が獲物を狙うかの如く、低く構え、刹那の静を携えます。
(……辺境の女か)
ゲンジマルの額から汗が流れます。
その汗が流れ落ち、地面に落ちた瞬間、2人は動きました。
ドガァ
2人の姿が重なったと思った次の瞬間、ゲンジマルの体は空を舞っていました。
それも縦回転だけではなく、3軸回転しながら。
その様を、警備の者だけでなく、そこに居合わせた全ての者が
信じられないようなものを見る目で見ていました。
あの、生ける伝説のゲンジマルが、一見か弱い娘に負けたのです。
これに驚かずして、何に驚けと言うのでしょうか?
ゲンジマルが地面にめり込んだ後、シンデレラは即座に走り出しました。
当然、シンデレラを追う者は誰もいませんでした。
この晩、シンデレラは、あらゆる意味で伝説となったのでした。
シンデレラれるもの -8-
シンデレラのことが気に入ったハクオロ王子は、
シンデレラを何としても花嫁に迎えたいと思っていました。
残された手がかりは、丸い、わっかの形をした髪飾りだけです。
その髪飾りを手で玩んでいるハクオロ王子の下に、ベナウィがやって来ました。
「聖上、申し訳ありません。あの娘の居場所は分かりませんでした。」
ベナウィはシンデレラのことをチキナロに調べさせていたのですが、
どうやら振り切られたようで、シンデレラの居場所は全く分かりませんでした。
申し訳なく謝るベナウィでしたが、ハクオロ王子は気にしていませんでした。
「何、構わないよ。私には分かっている。」
「はっ?」
いぶかしげな様子のベナウィに、ハクオロ王子はにっこりと微笑んで、
城の外に向かって歩き始めます。
「行くか。」
「どこへですか?」
「もちろん、花嫁のところへだ。」
ハクオロ王子は迷うことなく、シンデレラの住む屋敷へたどり着いていました。
ハクオロ王子の姿を見たシンデレラは驚きます。
「あ、あの、王子様、きょ、今日は、どのようなご用件で…。」
慌てふためくシンデレラに、ハクオロ王子はにっこりと微笑んで、
手に持っていた髪飾りをシンデレラにつけながら、ささやきました。
「汝の全てを捧げるか?」
「え?」
ハクオロ王子の言葉にシンデレラは驚きます。
「私が魔法使いだよ。」
「え、ええっ!」
驚きのあまり、シンデレラは大きな声をあげました。
「私は、シンデレラ、君が気に入ったんだよ。
ああいう風に私が話し掛けると、大抵は自分で何もせず、私に頼る。
だが、君は私のささやきをはねつけた。
私は、君のような強い娘が大好きだよ。」
「あ、あの、え、えっと…。」
あまりのことに頭がパニックしたままのシンデレラ。
そんなシンデレラに、ハクオロ王子は優しさを込めた声で言います。
「君の想いを私は聞きたい。汝の全てを我に捧げるか?」
ハクオロ王子のその言葉に、シンデレラは答えました。
「…はい…。わたし、あなたに、全てをささげます…。
身も、心も、全てを…。
愛しています…ハクオロさん…。」
こうして、シンデレラはハクオロ王子と結婚し、幸せに暮らしているそうです。
まあ、周りの女性にシンデレラがやきもちを焼くといったことも度々ですが、
それでも、幸せだったそうです。
と、いうわけで今日はここまで。
続きは次回の講釈で〜。
♪おれは自由に〜生きるそんご〜くうだよ 気楽なもんだよ〜…♪
あとがきの類似品
あとがき
長々と、すみません。
夢幻夢想です。
SSは初めてなので、いろいろと問題があると思いますが、
その辺りは、ご指摘いただけるとありがたいです。
なお、どこかで見たネタが入っているでしょうが、
まあ、笑って見逃して下さい。
SS書きさんに提案。
同じ題材で、それぞれ別の人が書いてみるのはどうでしょうか?
例えば、私のように、
「シンデレラ」をパロディーで書いてみるとか。
書く人によって同じ題材でも話がかわるので、
様々なシンデレラのパロディーができて、
おもしろいと思うのですが。
では、この辺で。
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