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今回はいつものように遅めの夢幻夢想です。
天を貫くほど超絶人気の(地べたから更に沈み込んで這いずっている程の不評だと思うが…)
「パロられるもの」第5段をお届けします。
今回のお話は、グリム童話の「白雪姫」からのパロディーで、
「白雪姫られるもの」です。
今回は第5回というキリのいい数字なので(随分と安いキリのよさだな…)、
特別に内容も多めにし、今までセリフはあっても出番がなかった、
ナレーションの親友であり、仕える人物である、「あの方」が主役です。
では、どうぞ。
パロられるもの5 白雪姫られるもの
白雪姫られるもの -1-
配役
王様・隣の国の王子様(二役)… ハクオロ&ウィツァルネミテア
白雪姫 … クーヤ
女王様・お妃様(二役) … カルラ
鏡 … デリホウライ
猟師 … ヌワンギ
小人さん1 … エルルゥ
小人さん2 … アルルゥ
小人さん3 … ウルトリィ
小人さん4 … カミュ&ムツミ
小人さん5 … ユズハ
小人さん6 … オボロ
小人さん7ズ … ドリィ&グラァ
隣の国の大臣 … ベナウィ
隣の国の王子の護衛1 … トウカ
隣の国の王子の護衛2 … クロウ
エキストラ … 残りの方々
ナレーション … サクヤ
ろ〜んぐ、ろ〜んぐ、あごぉ〜ぅ。
つまり、むか〜し、昔のことです。
真冬の頃、鳥の羽のような雪が空からふっていた時、
1人の女王様が黒檀の窓枠に腰掛けて、縫い物をしていました。
女王様は窓から雪を見た拍子に、針で指を刺してしまい、三滴の血が雪の上に落ちました。
赤い血は白い雪の上でとてもきれいに見えたので女王様は思いました。
「雪のように白く、血のように赤く、黒檀の木のように黒い髪をした子が欲しいですわ。」
それから間もなく女の子が生まれました。
生まれるまでに、その、まあ、いろいろあったのですが、それはこの際、省かせて頂きます。
お姫様は雪のように白く、血のように赤く、黒檀の木のように黒い髪をしていたので
「白雪姫」という名前になりました。
「ちょっと待て。なぜ、余がこの黒髪のカツラをかぶらねばならぬのだ?」
あ、それは、その、白雪姫の容姿が、上の通りなので…。
「そのくらい、変更できぬのか?」
す、すみません、クーヤさまぁ〜。あたしでは、どうにもならなかったんですよぉ〜。
「ああ、泣くでない、クーヤ。もう、わかった。これでよい。
で、あるから、鼻をかんで、続けるがよい。」
ク、クーヤざまぁ〜。あ、ありがどうございまずぅ〜。
ちーん…ぐじゅぐじゅ…
え、えっと、それでですね、白雪姫が生まれると女王様は死んでしまいました。
「ここで、私も衣装を変更するわけですわね。」
あ、はい。そうです。カルラさん、お願いします〜。
そして、一年経つと王様は新しいお妃様を迎えました。
新しいお妃様も女王様なのですが、都合上、お妃様と呼ばせて頂きますね。
その新しいお妃様はとてもきれいでしたが、
自信満々で人を見下したようなところがありました。
まあ、以前の女王様も似たようなものだった気も…。
「何か言いまして…?」
い、いえっ。なにもっ!
「なら、よろしいですわ。」
そ、それからしばらくして王様が亡くなりました。
死因は、その、す、衰弱死だそうです。理由はあまり深く聞かないで下さい。
王様が亡くなってからというもの、お妃様は毎日のように国のお金でお酒を飲みました。
マリーアントワネットもかくやという感じで革命が起こりそうです。
ところでお妃様にとって、
お妃様よりきれいな人がいるということは我慢のならないことでした。
お妃様は不思議な鏡を持っていて、鏡にうつったお妃様自身を見てこう言いました。
「鏡よ、かべの鏡よ、この世で1番美しいのは誰かしら?」
『姉上様です。姉上様が一番美しい。ああ、姉上様…。』
鏡はコンマ数秒で即答しました。
かなり鏡自身の想いが入っている気もしますが、
お妃様は鏡が本当のことを言うということが分かったので満足でした。
白雪姫られるもの -2-
白雪姫は大きくなると、どんどんおきれいになっていきました。
7才になるとお日様のようにきらきらして、お妃様よりきれいになりました。
ああ、黒髪のクーヤ様も、おきれいですぅ…。
「サ、サクヤ。余は白雪姫だ。今はクーヤではないぞ。」
はい、クーヤ様ぁ…その御髪(おぐし)、梳(す)かせて頂きたいですぅ…。
「う、うむ。は、話が終わったらな。」
分かりましたぁ…。ああ、クーヤさまぁ…。
「え、ええい!しっかりせぬか、サクヤ!」
はっ!ク、クーヤ様、あたしは、今何を?
「よ、よいから、早く話を進めぬか!」
あ、ハイ。
えっと、ある時、お妃様が鏡に聞きました。
「鏡よ、かべの鏡よ、この世で1番美しいのは誰かしら?」
鏡はやや答え難そうに答えました。
『…姉上様です。姉上様がここでは一番。だけど白雪姫の方が何千倍も美しい。』
これを聞いたお妃様はびっくりして、ねたましくてねたましくて、
まっ赤になったり(デリホウライの血で)、
青白くなったり(デリホウライが出血多量で)しました。
デリホウライさん、大丈夫でしょうか…?
「もう1度聞きますわ。この世で1番美しいのは誰かしら?」
笑顔の奥に何かしら圧倒的な威圧感があります。
ここらがお妃様といったところでしょうか。
『姉上様の方が断然お美しいです、ハイ。』
鏡のくせに冷や汗を垂らし、某商人のような口調でありながらも、
コンマ数秒で即答しました。
ちなみにその姿は満身創痍といった感じです。
「嘘を吐くのはよろしくありませんわね。」
『ではどうしろと言われるのですか、姉上様…。』
冷や汗が先程の約5.2倍強(当社比)増量しています。
「もういいですわ。狩人さん、狩人さ〜ん!」
お妃様は猟師を呼びました。
「どうした、お妃様。」
その猟師はイイとこの坊ちゃんそうな身なりをし、
昔の苦労をすっかり忘れ去った、不良、チンピラ、ヤクザ屋さんでした。
「俺様の名前はヌワンギだ!」
「さて、不良、ドチンピラ、恩も忘れるおバカさんの猟師さん。
あなたにお願いがありますの。
なお、あなたにヤクザというのは、
仁義を重んじるヤクザ屋さんに失礼なので変更させて頂きましたわ。」
猟師の言うことなど、きっぱりと無視してお妃様は猟師に言いました。
なにげに言葉がひどくなっています。
「あの子を森に連れて行ってくれませんか?もう見るのも嫌なんですの。
つまり、早い話が…白雪姫を殺って下さいませんこと♪」
お妃様は笑顔で恐ろしいことを言い放ちます。
「あの子を殺したら、そうね。その証拠に肺と肝を持って来なさい。酒菜にでもしますわ。」
「だから、俺様は…。」
「早く行かないと、私があなたをお仕置きして差し上げますわよ。」
「へヘっ。おもしれえ。やれるもんならやってみやが…にゃぷっ!」
そう言った直後、何も知らない猟師は、
生まれて初めて縦回転しながら背後に飛んで行きました。
白雪姫られるもの -3-
鏡ほどではないとしても満身創痍の猟師は、
言われた通りに白雪姫を森につれだし、刀を取り出しました。
そうして何も悪いことをしていない白雪姫の心臓を突き刺そうとします。
すると、白雪姫は言いました。
「猟師。余を殺すというのか?」
「そうさ。そうしねえと、俺様が…。
と、とにかく、あんたを殺さなきゃならないんだよ。覚悟しな。」
「そうか。なら、仕方がないな。…来るがよいっ!」
白雪姫がそう叫ぶと、地中から何かが盛り上がってきました。
それは、太陽の光を反射して美しく輝く、純白の皇専用のアヴ・カムゥでした。
アヴ・カムゥの搭乗者乗り込み口が開きます。
さあ、クーヤ様、どうぞお乗り下さい。
「おいっ!ちょっと待て!ナレーターがそんなモンに乗って、主役に渡しに来るな!」
あたしはクーヤ様第一ですから、クーヤ様のためなら何だってしますよ。
『さて…。不埒者。この白雪姫の首が欲しければ、余に勝ってみせよ!』
純白のアヴ・カムゥに乗り込み、白雪姫は不埒な猟師に剣を突きつけながら言います。
「お、おい…。ちょっと待てよ…。暴力はよくない、話せばわかる…。」
暴力しか知らないような猟師が何か言っていますが、当然無視です。
白雪姫のアヴ・カムゥが駆け出し…
その後の描写はあまりにも過激で、
別の意味で18禁になるので次の言葉をもって省略します。
惨劇
全てが終わり、白雪姫はボロ雑巾のようになった猟師に話し掛けます。
『余は森の中に行き、もう絶対家には戻らぬ。それで良いな?』
「は、はい…。どうか、お逃げ下さいませ、かわいそうなお姫様…。」
あまりにも白雪姫が美しいので猟師はかわいそうだと思って言いました。
そういうことにしておいて下さい。原作ではそうなっていますし。
猟師はけものにすぐに食べられてしまうだろうと思いました。
もっともそれは絶対にありえませんけど。
それでも猟師は自分で(が)殺さずに(殺されずに)すんで、
胸から石が転がり落ちたような気分でした。
「生きてる…良かった…。生きていることがこんなに素晴らしいことだったなんて…。」
生きている感動に打ち震えていた猟師ですが、
ふと横を見ると、そこにちょうど先程の戦闘(というより一方的な虐殺)で
巻き添えをくらったこの辺りでは有名な人食い熊が倒れていたのに気付くと、
猟師は熊の肺と肝を取り出し、お妃様に白雪姫が死んだ証拠として持って行きました。
コックさんがそれを塩漬けにして、悪いお妃様が食べました。
お妃様は白雪姫の肺と肝を食べたと思っていたのでした。
なお、殺した証拠に白雪姫の肺と肝を持って来い、と猟師に言ったのも、
猟師が持ち帰った熊の肺と肝を食べたのも、原作にはきちんとあります。
白雪姫られるもの -4-
さて、かわいそうな白雪姫は大きな森の中で1人ぼっちでいると、
とっても怖くて木の葉っぱを見ていました。
白雪姫はどうすればいいのか分からなくなっていました。
「サクヤ。暇だのう。何か面白いことはないのか?」
え?そ、そうですね。
それでは、この森の中を走ったり飛んだりしてみてはいかがでしょう?
「ふむ。そうだな。」
それで白雪姫は走り出して、尖った石や、イバラを飛び越えて行きました。
けもの達も横を走って行きましたが、何もしませんでした。
白雪姫は走れるだけ走りました。
やがて日も暮れかけた頃、小さな家を見つけ、白雪姫は休もうと思って中に入りました。
不法進入なのでは?と思うかもしれませんが、その意見は却下させて頂きます。
小屋の中はみんな小さかったけれど、とてもきちんとしていて、きれいになっていました。
白い布がかけられたテーブルがあって、
7つ+1の小さなお皿と、それぞれのお皿には小さなスプーンがありました。
それだけではありません。
7つ+1の小さなナイフとフォーク、それに7つ+1のマグカップもありました。
壁にはなぜか丁度7つの小さなベッドが端から端まで並べておいてあって、
白雪のようにまっ白なベッドカバーがしてありました。
「腹がすいたな。丁度良い。この食事を頂くとしよう。」
白雪姫はとてもお腹がすいていて、喉も渇いていたので、
みんなのお皿から野菜とパンを少しずつ食べて、
みんなのマグカップからぶどう酒を少しずつ飲みました。
なぜって、1つのお皿から全部食べてしまいたくなかったからです。
なお、窃盗罪では?という突っ込みも却下させて頂きます。
「ふむ。腹も満たされたし、そろそろ寝るか。」
白雪姫はとても疲れていたので、小さなベッドに寝転がってみました。
どれも大きかったり小さかったりでちょうど良いものがありませんでした。
でも7番目のベッドはぴったりで、白雪姫はお祈りをして眠ってしまいました。
白雪姫られるもの -5-
すっかり暗くなった頃、小屋の持ち主が帰って来ました。
帰って来たのは山で鉱石を探して掘っている7人+1の小人でした。
7人+1の小人は7つ+1の灯りをつけました。
小屋の中が明るくなると、出かけた時とは部屋の様子が違っていました。
それで誰かがいたことに気付きました。
薬師の小人さん1が言いました。
「わたしのイスに座っていたのは誰ですか?」
ムックルにまたがり、ガチャタラを肩に乗せた小人さん2が言いました。
「食べたの…誰?」
流れる蜂蜜のような金色の髪をし、白い羽を持った小人さん3が言いました。
「私(わたくし)のパンを食べたのはどなたですか?」
小人さん3の妹で、銀色の髪の、黒い羽を持った小人さん4が言いました。
「カミュの野菜を食べたの誰?」
儚げな印象の小人さん5が言いました。
「ユズハの…フォークを使ったのは…誰ですか…?」
小人さん5の兄である小人さん6が言いました。
「俺のナイフを使ったのは誰だ?」
双子の小人さん7ズが言いました。
「「僕達のマグカップから飲んだのは誰ですか?」」
すると小人さん1が辺りを見回して、
自分達のベッドに小さなくぼみがあるのに気がついて言いました。
「わたしのベッドに誰かが入った形跡があります。」
他の小人達も、「誰かがベッドに入っていたみたいだな。」と言いました。
ところが小人さん7ズが自分達のベッドに小さな白雪姫が寝ているのを見つけました。
小人さん7ズが皆を呼ぶと、皆駆け寄って来ました。
皆びっくりして騒ぎだして、めいめい小さな明かりを持って来て、白雪姫を照らしました。
「あら。何とかわいい子でしょう。」
小人さん3がそう言うと、みんなも騒いで同じようなことを言いました。
みんなはあまりに嬉しかったので、
起こさないでそのまま小人さん7ズのベッドに寝かせておくことにしました。
今晩、小人さん7ズがどうやって寝るかについては小人さん7ズが提案しました。
「「是非とも若様と一緒に寝たいです!」」
恐らくこれが最大の目的だったようで、
小人さん7ズは嬉々として小人さん6と一緒に寝ているうちに、夜は過ぎていきました。
ちなみに翌日、小人さん6と小人さん7ズは半裸だったそうです。
小人さん6は、寝相が悪かったのかな、と思いましたが、
みんなには、小人さん7ズの小人さん6を見る目が心なし潤んでいたように見えました。
白雪姫られるもの -6-
朝になって白雪姫が目をさますと、7人+1の小人がいたのでびっくりしました。
だけどみんな親切でした。
「余は白雪姫と言う。」
「どうしてわたし達の家に来たのですか?」
と小人さん1が言います。
それで白雪姫は新しいお妃様が自分を殺させようとしたこと、
猟師が(を)見逃がしてくれた(やった)こと、
それから一日中ずっと走って、やっとこの家を見つけたことを話しました。
小人さん達は言いました。
「わたし達の家の手入れしたり、お料理を作ったり、ベッドのしたくをしたり、
お皿を洗ったり、縫い物をして、何でもきちんとして、
きれいにしてくれれば、わたし達と一緒にいても構いませんよ。
できる限り、不自由はさせませんから。」
白雪姫は言いました。
「うむ。心遣い、感謝する。」
そうして白雪姫は小人達と一緒にいることにしました。
白雪姫は小人達のために家の片付けをしました。
小人達は朝に山に出かけて行って、銅や金や薬の材料を探して夕方に帰って来るので、
それまでにご飯のしたくをしておかなければいけませんでした。
最初は小人さん1が付きっきりで教えたりしていましたが、
あ、もちろんあたしも陰ながらお手伝いさせて頂きましたけど、
しばらくすると、白雪姫は1人でも家事が出来るようになり、
白雪姫は1日中1人でお留守番が出来るようになりました。
それで小人達は、白雪姫に用心するように言いました。
「お妃様に…どうかお気をつけ下さい…。
あなたがここにいることは、恐らくはすぐに分かってしまうでしょうから…。
決して…誰も入れてはいけませんよ…。
これはユズハだけでなく、皆さんからのお願いでもあります…。」
ところがお妃様は白雪姫の肺と肝を食べてしまったと信じていたので、
またも白雪姫が1番最高にきれいだなんてことは考えもしませんでした。
それで鏡に向って言いました。
「鏡よ、かべの鏡よ、この世で1番美しいのは誰かしら?」
鏡はまたも答え難そうに答えました。
『……姉上様、姉上様はここでは1番。
…で、でも、山の向こう、7人+1の小人と暮らしている白雪姫ほど、
その、う、美しい方は…いないような気がしないこともないです。』
鏡は回りくどく言いました。
「………つまり、白雪姫は死んでいないというわけですのね。」
『あ、あの…は、はい…。』
お妃様はびっくりしました。鏡が絶対に嘘をつかないことを知っていたからです。
お妃様は猟師が裏切って白雪姫が生きているということが分かったのでした。
「違う!俺様は、命からがら逃げたんだよ!あんなの、聞いてねえ…にゃぷうっっ!!!」
未だ満身創痍の猟師の言葉を無視して、お妃様はお仕置きしました。
惨劇パート2
お妃様はどうやって白雪姫を殺すか考えに考えました。
もっとも、ここに判別不能な塊が1つ転がっているような気がしますが…。
それはともかく、お妃様は自分が国で一番の美人にならないうちは、
くやしくてくやしくて、たまらなかったのです。
やっとのことで何かを思いつくと、
お化粧をして物売りのおばあさんのような服を着ました。
すると誰もお妃様だとは分かりませんでした。
白雪姫られるもの -7-
変装したお妃様は7つの山を越え、7人+1の小人のいるところへ行くと、
扉をたたいて言いました。
「素晴らしいものはいりませんこと?とっても安いですわよ。とっても安いですわよ。」
白雪姫は窓の外を見て言いました。
「ふむ。ご老体、何を売っておるのだ?」
「良いものですわ。きれいな物ですわ。色とりどりの紐ですわ。」
そうおばあさんは言うと、きれいな色のシルクで編まれた紐を一つ取り出しました。
このような老婆なら家の中に入れても大丈夫であろう、と白雪姫は思いました。
扉の掛け金を外してきれいな紐を買いました。
「お嬢ちゃん、なんてかわいい子なのでしょう。
こっちにおいでなさい。きちんと紐をつけて差し上げますわ。」
とおばあさんは言いました。
白雪姫は疑いもしませんでした。
おばあさんの前に行って新しい紐をつけてもらいました。
ところがおばあさんは、余りにも早く、
首を紐で断ち切らんとするかのごとく首に食い込む程きつく結んだので、
白雪姫は息ができなくなって死んだように倒れてしまいました。
「これで私が一番ですわね。」
とお妃様は独り言を言うと、逃げるように出て行きました。
それからすぐのことです。
夕方になって7人+1の小人が家に帰って来ると
かわいい白雪姫が地面に倒れていたのでびっくり仰天しました。
ぴくりとも身動きもしないで、まるで死んでしまったように見えました。
なんて描写はどうでもいいんです!早くクーヤ様を助けて下さい!
「ハ、ハイ。分かりました。
これから白雪姫を診察しますから、みなさん、抱き起こすのを手伝って下さい。」
小人達は白雪姫を抱き起こすと、紐がきつく巻いてあることがわかりました。
尋常ではない力です。首を紐で断ち切らんとするかのごとく首に食い込んでいました。
紐を切ると白雪姫は少し息をして、そのうち元気になってきました。
「あの老婆、いきなり余の首を紐で締めたのだ。あまりにも手早く、熟練した技を感じた。
あの者、只者ではない。」
小人達は何が起こったのか、という話を聞くと言いました。
「ヴァヴァア、悪者のお妃。家に入れる、ダメ。」
意地悪なお妃様は家に帰ると鏡の前に来て聞きました。
「鏡よ、かべの鏡よ、この世で1番美しいのは誰かしら?」
鏡はみたび答え難そうに答えました。
『………姉上様、姉上様が1番美しいです。
…で、でも、山の向こう、7人+1の小人が住むところの、
ま、まだ元気に生きている白雪姫は、
…そ、その…も、もっと…
きれいなような気がしなくもないわけではないこともなきにしもあらずです。』
鏡はとても回りくどく言いました。
鏡がこう言うのを聞くと、お妃様は怒りのあまり身をふるわせました。
「何としても白雪姫を殺してさしあげますわ。」
それからお妃様は誰も来ない秘密の隠れ部屋で
とても強い毒のりんごをつくりました。見た目はとても美味しそうでした。
白い実にまっ赤な皮で、誰もが欲しくなるようなりんごですが、
ひとかけらでも食べたら死んでしまうのです。
白雪姫られるもの -8-
りんごが出来上がると、お妃様はお化粧をするとお百姓さんの格好になりました。
そうして7つの山を以下略。
扉をたたくと白雪姫が窓から顔を出して言いました。
「誰も家には入れぬぞ。」
「構いませんわ。りんごをどうにかしたいだけですから。お1つ差し上げますわ。」
白雪姫は言いました。
「いかぬ。何も受け取ってはならぬのだ。」
「毒があるとお思いですのね。」
とおばあさんは言いました。
「では、こう致しましょう。
りんごを2つに切りますので、赤いところを食べるといいですわ。
私は白いところを頂きますわ。」
「う…む…。まあ、それならば良かろう。では、赤いところをもらおうか。」
ところがそのりんごはずるいことに赤いところだけ毒が入っていたのです。
白雪姫は美味しそうなりんごが欲しくなって、
おばあさんがりんごをちょっとかじるのを見ると我慢できなくなってしまいました。
それで毒の入っている方に手をのばしてしまったのです。
りんごをちょっと口に入れただけで白雪姫は倒れて死んでしまいました。
お妃様は世にも恐ろしい目つきで見ると、高笑いして言いました。
「雪のように白く、血のように紅く、黒檀の木のように黒い白雪姫。
今度こそ、小人達も助けられませんわね。」
お妃様は家に帰ると鏡に聞きました。
「鏡よ、かべの鏡よ、この世で1番美しいのは誰かしら?」
すると鏡はついにこう答えました。
『姉上様、姉上様が1番美しいです。ああ、姉上様…。』
ねたみ深いお妃様もこれでやっと安心しました。
小人達は夕方になって家に帰って来ると、地面に白雪姫が倒れていました。
うぅっ。ぐすっ。
白雪姫は息もなく死んでいました。
小人達は白雪姫を持ち上げると、何か毒のある物はないか探しました。
ぐすっぐすっ。
そして紐をとって、髪を梳かして、水やワインで白雪姫を洗ったりしましたが、
どれも役に立ちませんでした。
かわいそうな白雪姫は死んで、もう息を吹き返しませんでした。
うっううっ、わーん!クーヤ様が、クーヤ様がぁー!
白雪姫を台に乗せると、7人+1の小人は死んだ白雪姫の周りに座って泣いてしまいました。
あたしも一緒に3日間泣き続けていました。
小人達は白雪姫を土に埋めようとしましたが、
白雪姫はまだ生きているみたいに頬は紅く、きれいでした。
「白雪姫を暗い土の中に埋めることなど俺には出来ん。」
と小人さん6が言いましたが、全員同じ気持ちでした。
小人達はどこからでも見えるようにガラスでできた透明な棺桶をつくると、
その中に白雪姫を入れました。
棺桶の上には金の文字で白雪姫の名前と、王様の娘だということを書きました。
こうして、その棺桶は山の上へ置きました。
いつも誰か1人がそばにいて見張り番をしていました。
鳥も来て白雪姫のことを悲しんで泣きました。
最初にきたのがフクロウで次がカラス、最後に来たのがハトでした。
白雪姫られるもの -9-
さて、もうずいぶん長いこと白雪姫は棺桶の中にいました。
それでも変わらず雪のように白く、血のように紅く、黒檀の木のように黒く、
まるで眠っているように見えました。
ある王子様が森に護衛の人達を連れて、小人達の家に泊まった時のことでした。
その王子は角のようなものがついた白い仮面をかぶった、
人を惹きつけて止まないハクオロ王子でした。
ハクオロ王子は山にある棺桶と、中の美しい白雪姫を見ると、
棺桶にかかれている金の文字を読みました。
するとハクオロ王子は言いました。
「毒リンゴを食べて死んだのか。砒素でも飲んだのか?」
ハクオロ王子に大臣のベナウィが答えます。
「いえ。それとも違うようです。
それに、死んでいるというよりは仮死状態に近いのではないかと。」
「そのようだな。…もしかしたら、何かが分かるかもしれない。」
ハクオロ王子は何かを思いつき、小人達に白雪姫を外に出すための許可をもらいました。
「トウカ、クロウ。白雪姫を外に出す。手伝ってくれないか。」
「ハッ!」
「承知しやした。」
護衛であるトウカとクロウに手伝ってもらい、白雪姫を外に出し、様子を見ます。
「やはりか…。エルルゥ。気付いていたかい?」
ハクオロ王子は薬師である小人さん1に話しかけます。
「ハイ。気付いていました。わたしもこれは仮死状態だと判断しました。
ですが、どうしても蘇生の方法がわからず、このままにしてあるんです。」
「そうか…。よし。私にまかせてくれないか?」
ハクオロ王子はその場から離れると、力を込めました。
すると、ハクオロ王子の体が光に包まれ、次の瞬間には異形の姿が現れます。
異形の姿になったハクオロは白雪姫の脚を掴み、逆さまにしました。
『デハ、ユクゾ。』
ハクオロ王子はそう言うと、白雪姫の体を上下に激しく振りました。
ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんっ
つまり、赤ちゃんが誤飲した時の異物の取り出し方をやっているわけです。
流石にこの大きさでこれをやられるとかかる力も凄いです。
「けぽっ」
あっという間に、白雪姫ののどから毒りんごのかけらが出てきたのです。
やりました!ハクオロ様、凄いですっ!
それから間もなくして白雪姫は目を開けました。
白雪姫はまたしても息を吹き返したのです。
「むう?ここは、どこなのだ。」
白雪姫はどこかくらくらしながら言いました。
人間の姿に戻っていたハクオロ王子は、
白雪姫を膝枕し、頭を撫でながら大喜びでこれまでのいきさつを言いました。
「よければ、私と一緒にならないか。」
王子さまはいきさつを話すとこう言いました。
「君のことが大好きなんだ。私と一緒に国へ来ないか?どうする?」
白雪姫には、撫で撫でするハクオロ王子の心地良い感触の誘惑に抗い切れず、
その気になってハクオロ王子と一緒に行きました。
もちろん7人+1の小人さんも一緒です。
白雪姫られるもの -10-
2人の結婚式は、それは豪華絢爛に行われました。
白雪姫の悪い継母もまた、式に呼ばれました。
お妃様はきれいな服で身なりをととのえると鏡の前に行って言いました。
「鏡よ、かべの鏡よ、この世で1番美しいの誰かしら?」
鏡は久しぶりに答え難そうに答えました。
『…姉上様、姉上様が1番美しいです。でも若い女王様の方がもっときれいです。』
これを聞いた悪いお妃様は悪態をつくと、
どうしようもなくみじめになって気分が悪くなって
どうしていいかわからなくなってしまいました。
「…それにしても。デリ、あなたって、本当に正直ですのね。」
『え、あ、はい。姉上様も素敵ですが、やっぱり若い方が…。』
惨劇パート3
「正直なのは良いことですけど、正直過ぎるといろいろと損しますわよ。」
『み、身をもって、ぐふっ。覚えさせて、ごふっ。いた、だきま…し…た…げふうっ!…』
…デリホウライさん、もはや、ぴくりとも動かないんですけど、大丈夫でしょうか…?
「大丈夫ですわよ。この程度でどうにかなるようでしたら、
ギリヤギナを名乗る資格なんてありませんわ。」
ですけど、素人目から見ても、命が危ないように見えるんですけど…。
「見た目だけですわ。ですから、早くナレーションをお続けなさい。」
あ、はい。そうですね。
えっと、お妃様は初めは結婚式なんか行く気は全然なかったのですが、
どうしても気分が落ち着かなかったので、若い女王様を見に行くことにしました。
入ってみると、若い女王様は白雪姫だとわかり、
いらだたしいやら恐ろしいやらで立ちつくしたまま、身動き1つできませんでした。
お妃様が自分にあてがわれた部屋に戻ると、
そこには7人+1の小人と、結婚式のすんだ白雪姫の姿がありました。
「何ですの、あなた達?」
「何、ちとお礼参りにな。」
小人さん6が双刀を構えながら言います。
「白雪姫に対する数々の暴挙、少し懲らしめなくてはならない。」
青色だったはずの瞳の色を紅くして小人さん4が言います。
『余も、いい加減頭にきてな。遠慮はいらぬ。是非とも受け取ってもらいたいのだ。』
純白のアヴ・カムゥに乗り込み、お妃様に言う白雪姫。
「面白いですわ。久々に体を動かすとしましょうか。いつでもよろしくてよ。」
お妃様が動き難いドレスを脱ぐと、その下には動きやすい服を着ていました。
「「「「「「「「「ハアッ!」」」」」」」」」
こうして、史上最強にして、最大のパーティーが始まりました。
これにより、とある格言が国々を駆け巡ることになりました。
ですが、それはまた別のお話。
と、いうわけで今日はここまで。
続きは次回の講釈で〜。
♪おれは自由に〜生きるそんご〜くうだよ 気楽なもんだよ〜…♪
あとがきの類似品
夢幻夢想です。
今回、長いです。
ですが、その分、内容もしっかり書けたと思います。
次回ですが、「眠り姫」か「ヘンゼルとグレーテル」辺りになるかもしれません。
ちなみに、作者と作品名ですが、
1. シャルル・ペロー 眠り姫 グリム兄弟 いばら姫
2. グリム童話 ヘンゼルとグレーテル
と、なります。ちなみに「眠り姫」と「いばら姫」は同じ話です。
では、この辺で。
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