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やや体調回復の夢幻夢想です。むぅちんと呼んで下さいね♪
(幻夢です。…まあ、ほどほどにして寝なよ…。)
大丈夫ですよ、げんちゃん。週一くらいで話を書く様にするから。
(それでも、数時間続けてモニター見たり、キーボード打つのはやめときなよ…。)
さて、みなさん期待の(期待してないんじゃ…)「パロられるもの」の第11段です。
今回は前回候補にあげていた桃太郎と浦島太郎のうち、浦島太郎に決定しました。
(桃太郎は、また次にやるかもしれませんけどね。)
と、いうわけで、今回の講釈は「日本昔話」からで、「浦島太郎」のパロディ、
「浦島太郎られるもの」をお届けします。
では、どうぞ。
パロられるもの11 浦島太郎られるもの
浦島太郎られるもの
配役
浦島太郎 … ハクオロ
浦島太郎のおばあさん … トゥスクル
亀&乙姫(おとひめ) … エルルゥ
鯛(たい) … オボロ
小鯛 … ユズハ
鮃(平目・ひらめ) … ドリィ
鰈(かれい) … グラァ
鰹(かつお) … アルルゥ
河豚(ふぐ) … カルラ
海老(えび) … トウカ
蛸(たこ) … ウルトリィ
烏賊(いか) … カミュ
エキストラ … その他の方々
ナレーション … サクヤ
浦島太郎られるもの-1-
むかし、むかし、ある海辺の村に浦島太郎という、
角のようなものがついた白い仮面を着けた若者が住んでいました。
浦島太郎は毎日釣竿をかついでは海へ出かけて、
鯛(たい)や、鰹(かつお)などのお魚を釣って、おばあさんを養っていました。
「ハクオロや。いつもすまないねぇ。」
「いえ。このくらい構いませんよ、トゥスクルさん。」
ある日、浦島はいつもの通り海へ出て、1日お魚を釣って、帰って来ました。
「これだけあれば、トゥスクルさんにたくさん食べさせられるだろう。」
途中、子供が5人ほど往来に集まって、がやがや言っていました。
何かと思って浦島がのぞいてみると、小さい亀の子を1匹捕まえて、
棒で突付いたり、石で叩いたり、さんざんにいじめているのです。
「や、やめて下さい!何て事をするんですか!!
もうっ、この着ぐるみ動き難いですっ!!!」
「にゃぷぷっ。そうはいかないにゃも。これはワシらの楽しみにゃも。」
「クカカカッ!良い獣とまみえるとは―この喜び、貴様には判るまい。」
「ふん、この糞蟲め…。」
「ンフフフフフフフフフフ…。カンホルダリ、これは糞蟲じゃなくて、鈍亀ではなくて?
ほら、ヌワンギ、貴方もやりなさい。」
「スオンカス、そ、そんなこと言われても、
オ、オレ様には、オレ様にはエルルゥをいじめる事なンて、出来ねェッーーーーー!」
「…のう、サクヤ。子供というには随分と大きな子供だの。
……髭が生えているどころか、白髪の者もいるが…。」
クーヤ様ぁ〜、歳について突っ込んだら駄目ですよ〜。
と、とにかく、浦島は見かねて子供達に言いました。
「まあ、そんなかわいそうなことをするものではない。
いい子…ではないと思うが、とにかく、いい子だからその亀の子を放してあげなさい。」
そう止めましたが、子供達は聞き入れようともしません。
「にゃぷぷぷ。まだまだにゃも。」
子供達は、亀の子を仰向けにひっくり返して、足で蹴ったり、砂の中に埋めたりしました。
「あぅ!?ち、ちょっと、止めて下さい。止めて下さいってばっ!」
浦島はますますかわいそうに思います。
「じゃあ、私がおあし(お金)をあげるから、その亀の子を売ってはくれないだろうか?」
と言いますと、子供達は、
「あン?テメェ、見かけねぇツラだな?
まあ、オレとしては元々いじめるなンて気は無ェから、
カネをもらえるンならカンベンしてやってもいいぜェ。」
と言って、手を出しました。
そこで浦島はおあしをやって、亀の子を貰い受けました。
「にゃぷぷっ。やっぱりカネはいいにゃも。」
子供達は、わいわい言いながら、行ってしまいました。
浦島太郎られるもの-2-
「やれやれ。危ないところだったな。」
子供達の姿が見えなくなった頃、浦島は、
甲羅から不安げに、そっ、と出した亀の首を優しく撫でてやりました。
なでなで…
「はぇ!?」
なでなでなでなで…
「ハ、ハクオロさん…。」
亀の子は顔を赤くして、亀なのにやけにフサフサしている尻尾を嬉しそうに振ります。
「いや、私は一応浦島太郎なのだが…。
とにかく、危ないところだった。さあ、もうお帰りお帰り。」
と言って、両脇を抱えるようにして亀の子を持ち上げます。
「さて、海に返してあげよう。じっとしているんだよ。」
「え!? あ…ぃ…ぅ…。…はい。」
亀の子は恥ずかしそうでしたが、尻尾は嬉しそうに振られていました。
さわさわさわさわ…
(うっ!な、何やら、尻尾の感触がくすぐったいような気持ち良いような…。)
くすぐったさに思わず取り落としてしまいそうな、
だけど気持ちいいのでそのままにしておきたいような複雑な気持ちでしたが、
何とか浦島は亀の子を海ばたまで持って行って放してやりました。
「あ、ありがとうございます、ハクオロさんっ!」
「いや、だから私は浦島太郎なのだが…
ま、まあ、それはいいとして、気をつけて帰るんだぞ。」
亀の子はさも嬉しそうに、首や手足を動かして海を泳いで行きながらも何度も振り返り、
やがて、ぶくぶく泡をたてながら、水の中に深く沈んで行ってしまいました。
「よくないことがあったけど、いいこともありました。
ハクオロ…じゃなくて、浦島さんに会えました…。
出会いのきっかけになった子供達にも感謝しないといけないかもしれませんね。
仰向けにひっくり返されたり、足で蹴られたり、砂の中に埋めたりしましたけど………。
……やっぱり許せない……。」
その夜、亀の子をいじめていた子供達が夜道を帰っていました。
「にゃぷぷぷ…もうかったにゃも。」
「クカカカカカ、礼を言うぞ。このような、収入を与えてくれたことにな。」
「ふん、可愛いものよ。」
「フフ…。ンフフフフフフフフフフ…。いい取引だったわ。」
「へ…へへッ。エルルゥをいじめなくて良かったし、カネは手に入るし。
言うこと無しだぜェ。」
ご機嫌で歩いていた5人の前に、1つの人影が現れました。
「な、何にゃも?」
「……昼間は、よくもわたしをいじめてくれましたね……。」
「ぬぅ?手前は、昼間の糞蟲っ!」
「ム!?ぬ―ぬうッ!?なに― 貴様……ッ……!
ゴボッ…!!!
カカ…カカカッ…。 やはりこの目に狂いは…なかった…。
貴様こそが…最高の獣…。 さぁ…喰らうがいい…。
我等の間に存在するは、喰うか食われるかよ…。
クク…クカカカ…
クカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ―………。」
翌日、5人の悪ガキ達が姿を消し、神隠しとして騒ぎになったそうですが…、
それは話とは関係ないのでどうでもいいことです。
「どうでも良いことなのか…?」
浦島太郎られるもの-3-
それから2、3日経って、浦島はまた舟に乗って海へ釣りに出かけました。
遠い沖(おき)の方までも漕ぎ出して、一生懸命お魚を釣っていますと、
後ろの方で
「ハクオロさ…じゃなかった。浦島さん、浦島さん。」
と呼ぶ声がしました。
「ん?何だ?」
浦島が振り返ってみますと、誰も人の影は見えません。
「なっ…!だ、誰も居ない…!!ま、まさか、海坊主かっ!?いや、柄杓おばけかも…。」
「それはそうであろ。誰も居ないはずの海の上で、後ろから声を掛けられたら怖いぞ。」
あたしも怖いですよぅ、クーヤ様ぁ〜。
浦島が驚いて辺りを見渡すと、いつのまにか、1匹の亀が、舟の側に来ていました。
浦島が不思議そうな顔をしていると、亀が喋ります。
「わたしは、先日助けてもらった亀です。今日はそのお礼に来ました。」
「ああ、そうだったのか。わざわざ礼なんぞ言いに来るには及ばないのに。」
「でも、本当にありがとうございました。
所で浦島さん。浦島さんは龍宮をご覧になったことがありますか?」
「いや、話には聞いているが、まだ見たことはないよ。」
「じゃあ、ほんのお礼のしるしに、わたしが龍宮を見せてあげますっ!どうでしょう?」
「ほう。それは面白そうだ。
ぜひ行ってみたいが、それは何でも海の底にあるという話ではないか。
どうやって行くつもりだい?私にはとてもそこまで泳いでは行けないよ?」
「大丈夫です。あの、わ、わたしの、その、せ、背中に乗ってくれますか?」
亀はこう言って、背中を出しました。
浦島は悪いなあと思いながら、言われるままに、亀の背中に乗りました。
「ひぁ!?」
「あ、す、すまない…。」
「い、いえ、違うんですっ!た、ただ、少し驚いただけですからっ!!」
「そ、そうか…。」
亀はすぐに白い波を切って、ずんずん泳いで行きました。
「ああ…ハクオロさんを乗せているんですね、わたし…。
…えっ!? の、乗っけているだなんて、そ、そんな、わ、わたし…。」
「うおわっ!?ち、ちょっと、エルルゥ。ふ、振り落とされるっ!」
「ダ、ダメです。そんな、いきなりなんて。
でも、わたし、ハクオロさんになら…って、え!?
あ、す、すみませんっ!!」
何やら妄想に浸っていた亀でしたが、正気に戻るときちんと泳いで行きます。
ただ、時々赤くなってくねくねするのはご愛嬌ですけど。
波の音がだんだん遠くなって、青い青い水の底へ、ただもう夢のように運ばれて行くと、
ふと、そこらが、ぱあっ、と明るくなって来ました。
白玉のようにきれいな砂の道が続き、向こうに立派な門が見えました。
その奥にきらきら光って、目の眩む様な金銀のいらかが、高くそびえていました。
「さあ、龍宮に着きましたよ、浦島さん。」
亀はこう言って、浦島を背中から下ろして、
「しばらく待っていて下さいね、浦島さん。」
と言ったまま、門の中へ入って行きました。
浦島太郎られるもの-4-
まもなく、中から誰かが出て来ました。
それは女官で、とても美しい人でした。
その女官を見た瞬間、ハクオロは同情的な瞳でその人物を見つめました。
「………ベナウィ、お前もか………。」
「聖上、どうぞお笑いになっても構いません。」
「いや………キレイ過ぎて笑えない………。」
「聖上の女装もなかなかのものだったと記憶しておりますが…。
それはともかく、さあ、こちらへ。」
と、文武両道に優れた美しい女官は浦島を御殿の中へ案内しました。
「何で俺が鯛(たい)の着ぐるみを…。しかも雌(めす)…。」
「オボロ兄さま…。ユズハは…楽しいです…。」
「「若様もユズハ様も似合ってますよ。後で一緒に、踊りましょう。」」
鯛や小鯛や鮃(平目・ひらめ)や鰈(かれい)や、いろいろのお魚(の着ぐるみ)が、
もの珍しそうな目で見ている中、浦島が入って行きます。
「この先で乙姫様がお待ちです。」
女官に言われ、浦島は先へ進みました。
すると、何者かが浦島の前に姿を現わしました。
その姿を見て、浦島は驚きました。
「ぶはァ〜!朕が乙姫にゃも。」
そこにいたのは砂漠化の進んだ頭をパーマのヅラで隠した、
でっぷりとした脂肪のカタマリでした。
あまりの展開に浦島の身体は硬直し、嫌な汗が流れ、血が凍り、思考が凍ります。
「おみゃあ〜が朕のスィ〜トダ〜リンにゃもね。
ぶはァ〜! おみゃあは朕と結婚して、この龍宮を……
ギャァァァァァァッ!!!」
浦島は問答無用で瞬殺します。
『殺(ヤ)レッ!!!』
という、己の内なる神が叫ぶ通りに。
必殺まで入れ、完膚なきまで。
浦島太郎の歌
@♪ むっかし〜むっかし〜浦島は〜、助けた亀に〜連れられて〜、
龍宮城へ〜来てみれば〜、絵〜に「は」描けない美しさ〜。 ♪
虐殺シーンのため、その間、歌を歌わせて頂きました。
本当の歌詞は、♪ 絵〜に「も」描けない美しさ〜 ♪ なんですけどね。
そのモノが細切れのミンチになった頃、浦島は肩で息をしながら言います。
「……帰る。絶っっっ対に、帰るッ!!!」
そう吐き捨てると浦島は方向転換して、門へ向おうとしました。
「あら。お待ちになって、あるじ様。」
河豚(ふぐ)の着ぐるみを着たカルラが浦島を止めます。
「カルラ。私は何が何でも帰らせてもらう。」
「ほんの軽い冗談ですわ。
アレは乙(おと)姫ではなく、乙(おつ)姫と言って、ほんの余興ですわ。」
「…何だ。そうだったのか。ふぅっ…。
私はてっきり、あのアンコウに似た生物(なまもの)と結婚させられるのかと思ったぞ。」
余興だと聞いて額の汗を拳で拭きながら安心する浦島でした。
「まったくだ。余も、あれと結婚するのではないと聞いて安心したぞ。」
あたしもですよぅ〜。本当に良かったですぅ〜。
なお、細切れのミンチはどうでもいいのか、という突っ込みは当然却下させて頂きます。
浦島太郎られるもの-5-
余興の後始末をした後、乙姫(おとひめ)様がお迎えに出て来ました。
本物の乙姫様は、フサフサしていい匂いのする黒髪をし、優しげな愛らしい瞳と、
瑞々しい肌をした美しい少女でした。
ですが浦島は、乙姫様にどこか見覚えがありました。
「この姿では始めまして、ですね。
実は、わたしが、助けてもらった亀なんです。
わたし、亀の姿をして、外の世界を見に行きたかったんです。
ですが、陸に上がった時、子供に見つかって…。
その時、助けてくれてありがとうございます。」
「いや。大したことはしていない。」
「そんなことはありません。
あれは、か弱いわたしのような者だと、どうにもならなかったんです。」
今、時が止まったような気がしましたが、気のせいでしょう。
「…サクヤ。か弱い、とは、無敵、と言う意味があったのか?」
クーヤ様、言わないで下さい…。
「さあ、浦島さん、わたしに付いて来てもらえますか?」
「えっ!?あ、ああ。」
先程のショックから立ち直った浦島は、乙姫様についてずんずん奥へ通って行きました。
瑪瑙(めのう)の天井に珊瑚(さんご)の柱、
廊下には瑠璃(るり)が敷き詰めてありました。
「これは凄いな…。」
こわごわその上を歩いて行くと、どこからともなくいい匂いがして、
楽しい楽(がく)の音(ね)が聞こえて来ました。
やがて、水晶(すいしょう)の壁に、いろいろな宝石をちりばめた大広間に通ると、
「浦島さん、ようこそお出で下さいました。改めてお礼を言わせて下さい。
先日はわたしの命を助けて頂いて、本当にありがとうございます。
何にもおもてなしはございませんが、どうぞゆっくりしていって下さい。」
と、乙姫様は言って、丁寧にお辞儀しました。
やがて、鯛(たい)を先頭に、小鯛、鮃(平目・ひらめ)、鰈(かれい)、鰹(かつお)、
河豚(ふぐ)、海老(えび)、蛸(たこ)、烏賊(いか)といった大小いろいろなお魚が
珍しいご馳走を山ほど運んで来て、賑やかな酒盛が始まりました。
「ふむ。魚の漢字の勉強になるの。」
あたしも勉強になりますよ、クーヤ様。
「ん。おと〜さん。」
「ありがとう、アルルゥ。」
浦島は食事を運んで来てくれた鰹(かつお)にお礼を言います。
お酒を飲んで歌う河豚(ふぐ)に、海老(えび)が注意します。
「♪酒菜酒菜酒菜〜♪」
「カルラ殿。これは客人の酒宴なのだぞ。」
「判ってますわよ、トウカ。
ウルト。」
海老(えび)の非難に答えると、河豚は蛸(たこ)に声をかけます。
「ええ、カルラ。
カミュ、楽を鳴らします。ユズハ様は歌を。」
「うんっ!」
「はい…。」
蛸(たこ)が言うと、烏賊(いか)も蛸と共に楽を鳴らし、小鯛が歌を歌います。
「それでは、某は何を…。」
「では、一緒に踊りましょ。」
「え?いや…。」
「さぁ、行きますわよ。」
河豚(ふぐ)は海老(えび)を強引に連れて踊ります。
「「若様、僕達も踊りましょう!」」
「な、ま、待て!俺は今、雌の鯛の着ぐるみを着ているんだぞ。」
「「みなさんそうですから大丈夫です。」」
「お、おいっ!」
鯛(たい)は、鮃(平目・ひらめ)と鰈(かれい)に連れられ、踊りに入ります。
浦島太郎の歌
A ♪乙姫様のご馳走に〜、鯛や鮃の舞い踊り〜、
た〜だ珍しく〜面白く〜、月日の経つのも夢のうち〜。♪
きれいなお魚達は、歌を歌ったり、踊りを踊ったりしました。
浦島はただ、もう夢の中で夢を見ているようでした。
浦島太郎られるもの-6-
ご馳走がすむと、浦島はまた乙姫様の案内で、御殿の中を残らず見せてもらいました。
どの部屋も、珍しい宝石で飾り立ててありますからその美しさは、
とても口や言葉では言えないくらいでした。
一通り見てしまうと、乙姫様はこう言いました。
「今度は四季の景色を見せますね。」
そこには東西南北に戸があり、それぞれ、東の戸には春の景色、南の戸には夏の景色、
西の戸には秋の景色、そして北の戸には冬の景色を見ることが出来ました。
浦島は何を見ても驚き、目を見はってばかりいました。
ところで、原作の浦島太郎は、そのうち段々ぼうっとしてきて、
お酒に酔った人のようになって、何もかも忘れてしまうのですが、
この浦島太郎は、そんなことはありませんでした。
「すまないが、私は家に帰らなくてはならない。」
一通り見ると、浦島は乙姫にそう言いました。
その言葉を聞くと、乙姫様はとてもがっかりした表情をしました。
「そう…ですか…。…残念ですけど、仕方ありませんね…。」
そう悲しそうに言って、乙姫様は、奥からきれいな宝石で飾った箱を持って来ました。
「これは玉手箱(たまてばこ)といって、中には、人間の一番大事な宝が込められています。
これを別れのしるしに、差し上げますから、持ち帰って下さい。
ですけど、あなたがもう一度、龍宮へ帰って来たい、と思うのでしたら、
どんなことがあっても、決してこの箱を開けて見てはいけません。」
と、くれぐれも念を押して、玉手箱を渡しました。
浦島は、玉手箱を受け取りながら乙姫に言います。
「ああ。約束しよう。」
「ハイ。約束ですよ。」
浦島は玉手箱を小脇に抱え、龍宮の門を出ますと、
乙姫様を初め、鯛(たい)、小鯛、鮃(平目・ひらめ)、鰈(かれい)、鰹(かつお)、
河豚(ふぐ)、海老(えび)、蛸(たこ)、烏賊(いか)、
そして美しい女官に至るまで門の外まで見送りに来ました。
「兄者。行くのか。」
「ああ。トゥスクルさんが待っているからな。」
「…そうか。だが、兄者。必ず帰ってこいよ。」
「そうだな。」
「それでは聖上、お元気で。」
「……ベナウィも、頑張れ。いろんな意味で…。」
門の外には、ムックルが来て待っていました。
浦島は色々と複雑な心境でムックルの背中に乗ろうとしました。
その時。
「おや。ハクオロじゃないかぇ?」
聞き覚えのある声がして、そちらの方を見ます。
そこには浦島太郎のおばあさんがいました。
「トゥスクルさん?どうしてここに?」
「どうしてじゃないわい。突然、アルルゥがやって来て、
『乗る』
と言って、ムックルに乗せられてここまで連れて来られたんじゃよ。」
見ると、アルルゥとムックルが嬉しそうな表情で浦島の方を見ていました。
「これでおと〜さん、一緒。」
「浦島さん、どうか、わたし達と一緒にいて下さい。」
乙姫も浦島に懇願するような表情で言います。
見ると、他のみんなも同じような面持ちです。
悩む浦島に、おばあさんが言います。
「お前さんの好きにするがええ。ワシはここで暮らしても構わんよ。」
「トゥスクルさん………そうだな……。みんなでいるなら、ここも悪くない。」
「ハクオロさんっ!」
「ハクオロさま…ユズハは…嬉しいです…。」
「だから、私は浦島太郎だって…まあ、いいがな。」
浦島が残ると聞いて、みんなはとても喜びます。
浦島も、みんなが喜んでくれて嬉しい気持ちでいっぱいでした。
浦島太郎られるもの-7-
浦島が竜宮に残ると聞いて、みんなが喜んでいたその時のことです。
空から何かが降ってきました。それは見る見るうちに大きくなり、着地しました。
ズンッ
それはイッたヤツ専用の赤いアヴ・カムゥでした。
『ヒャハハハハハッ!! 聞いたよぉ。浦島太郎とやら。
その玉手箱には、人間の一番大切なものが入っているんだってね?
僕に渡してもらおうか。』
「………突っ込みたいことは山ほどあるが、
取りあえず、どうやってここの場所が分かったのか知りたいんだが…。」
『僕の頭の中で言っていたのさ。ここに龍宮城があるってね。
クキキキキッ!!ああ、聞こえる、聞こえるよぉ〜。』
「………本当に電波系のイッたヤツになったか………。」
浦島太郎は哀れというより、鬱陶しいという表情で言います。
他のみんなの表情も同じでした。
『さあ、大人しく渡してもらおうか。さもないと痛い目にあうよ?』
痛い目を見るのはどっちだか知りませんが、電波系のイッたヤツは威圧的に言います。
「まあ、いいだろう。ほれ。」
『ハッ?』
浦島はあっさりと電波系のイッたヤツに玉手箱を渡します。
「どうした?いらないのか?持って行ってもいいんだぞ?」
『ハ、ハハハハハッ!こいつはいい!素直でいいことだ!
いい子のご褒美に、僕が遊んであげるよ。』
電波系のイッたヤツは玉手箱を小脇に抱えると、
手に装備した爪をカチャカチャ鳴らしながら言います。
「…ふぅ…。だ、そうだが、みんな、どうする?」
浦島がみんなの方を見ながら尋ねます。
「そうですね。みんなで、遊んでもらいましょうか?」
乙姫様は拳を鳴らしながら答えます。
「御心のままに。」
美しい女官も愛用の槍を構えて答えます。
「わざわざ、この竜宮まで来たんだ。丁重にもてなさないとダメだろう。」
雌の着ぐるみを着たまま、鯛が双刀を構えます。
「「若様、用意できました!」」
鮃(平目・ひらめ)と鰈(かれい)が鯛に並びます。
『おやおや。たかが6人でこのアヴ・カムゥに立ち向かうと言うのかい?』
電波系のイッたヤツは余裕で言い放ちます。
「いえ。ここは私とオボロだけで構いません。」
「ベナウィの言う通りだ。いいか、お前達!手は出すんじゃないぞッ!!」
「「承知しました、若様!」」
『面白い、面白いよ、お前ら!わざわざ殺されに来るなんてね!!
いいよ!そっちからかかってくるがいいさッ!!そして絶望するんだッ!!!
ヒャハハハハハハハハハッ!!!!』
余裕のあまり、電波系のイッたヤツは唯一の仕掛けるチャンスを放棄したのでした。
補足説明ですが、
美しい女官と鯛は、女装と恥ずかしい着ぐるみのせいで鬱憤が溜まっていました。
従って…
惨劇
「カルラさん。このぼろきれ、地上に戻しておいて下さい。」
「いいですわよ、エルルゥ。私もここに捨てるのは反対ですもの。」
絶望しきったぼろきれを龍宮に捨てるには、あまりにも汚らわしいので、
河豚(ふぐ)の力で陸まで放り投げられました。
「さあ、あるじ様。2人きりで蜜月を過ごしましょう。」
「な、何を言っているんですか、カルラさん!ハクオロさんは、その、わたしの…。」
浦島とおばあさん、そして龍宮のみんなは、
龍宮で、賑やかながらも、楽しく、幸せに暮らしているそうです。
浦島太郎られるもの-8-
ところで、絶望しきったぼろきれは、
超スピードで海中を進む中、薄れる意識で思っていました。
『ヒ…ヒャハハ…。た、玉手箱は、手に入ったんだ…。地上に帰ったら、早速開けよう…。』
浦島太郎の歌
B ♪遊びに飽きて気がついて〜、お暇(いとま)乞いもそこそこに〜、
帰る途中の楽しみは〜、土産に貰った玉手箱〜♪
絶望しきったぼろきれは、潜水艦の急浮上の如く凄まじい勢いで海面から打ち上げられ、
海辺の岸壁に激突して止まりました。
ドゴゥッ
『グガッ!』
全身がばらばらになるほどの衝撃が、絶望しきったぼろきれに襲い掛かります。
ついでに深いところから地上にいきなり移動させられたので、
重い潜水病にもなっていました。
『グ、ガッ、ゲ、ゲェェェッ!』
ひとしきりのたうちまわった後、絶望しきったぼろきれは辺りを見ます。
そこには、今まで見たこともなかった景色が広がっていました。
正四角錐の物体が逆さまに地面に突き刺さったような建物があり、
そこへと向って長い行列が出来ていました。
『これより、こみっくパーティーを開催します。』
「おぬしは何を購入するでござるか?」
「そ、そうなんだな。
や、やっぱり、CAT OR FISH!?と、
か、辛味亭の新刊は、 お、押さえておくべきなんだな。」
「そうでござるな。それに加え、新住所確定の新刊も買うつもりでござるよ。」
「ボ、ボクは、彩っていうコのオリジナルと、ブ、ブラザー2の新刊も、か、買うんだな。」
「桜井あさひのコンサートも楽しみでござるな。」
何やら濃ゆい人々の姿が見えます。
何やらいろいろと問題ありそうな会話もありますが、笑って見逃して下さい。
歌をどうぞ〜。
浦島太郎の歌
C ♪帰って見ればこわ如何(いか)に〜、元居た家も〜村も無く〜、
路に行き合う人々は〜、顔も知らない者ばかり〜。♪
「いや、厳密に言うと、どこかで知っていそうな者ばかりでは…?」
クーヤ様、それを言ったらおしまいですよぅ〜。
「な、何なんだ、ここは?何がどうなっているんだ?」
絶望しきったぼろきれは独り言を言いながら、
もはや何の役にも立たなくなったアヴ・カムゥから出て、
小脇に玉手箱を抱え、その奇妙な建物に入って行きました。
そこには、様々な紙の本が置いてありました。
今、一番行列があるのは、「うたわれるもの」の同人誌やグッズのようです。
「な、何なんだ、この熱気は…。」
何気なく行列に並んで見ると、そこは何処よりも長く、女性の割合が多めでした。
その先では、龍宮で見たはずの鮃(平目・ひらめ)と鰈(かれい)が同人誌を売っていました。
「「いらっしゃいませ!」」
「な、ど、どうしてここにいるんだ?龍宮に居たんじゃ…?」
「「ハイ?りゅうぐう?僕達、そんな地名の住所には住んでいませんけど??
まあ、とにかく、新刊、見て行って下さい!!」」
絶望しきったぼろきれは、見本誌と書かれた本を見てみます。
その内容は、その、えっと、オボロ×ドリィ&グラァの、
ヤマなし、オチなし、イミなしの頭文字をとった内容の、ソレ系の本でした。
それはまるで実際の体験を書いているような、細部、描写に至るまで、リアリティ溢れた、
よくスミ塗りや発禁を喰らわなかったものだと感心する程の素晴らしい一品でした。
道理で、並んでいるのは若い女性が多かったわけです。
…って、クーヤ様ぁ!そんな本を読んだらダメですよっ!!
「こ、こんなことが男同士だと可能なのか?のう、サクヤ?」
あ、あたしに聞かないで下さいよぅ〜。
浦島太郎られるもの-9-
「な、何なんだよ、この世界は…。」
絶望しきったぼろきれは、カルチャーショックを受けたようでした。
カルチャーショックを受けたぼろきれは、しおしおと浜辺へ出てみました。
海の水は満々と湛えていて、どこが果てともしれません。
もうアヴ・カムゥは完膚無きまで破壊されていますから、
龍宮へ渡る手立てもありませんでした。
その時、カルチャーショックを受けたぼろきれは、ふと、
抱えていた玉手箱に気がつきました。
「そうだ!僕にはこの箱があったんだ!早速開けよう!」
そう思うと嬉しくなって、カルチャーショックを受けたぼろきれは箱の蓋を取りました。
乙姫様の言うことは自分の都合のいい所しか聞いていなかったようです。
するとムラサキ色の雲が、中からむくむく立ちのぼり、それが顔にかかったかと思うと、
すうっと消えて行って箱の中には何にも残っていませんでした。
「な、なんだよ?何も入って…!?」
その瞬間、カルチャーショックを受けたぼろきれは覚醒しました。
カルチャーショックを受けたぼろきれから、ムラサキのオーラが立ち上ります。
「男×男〜!!!」
目の色を変えて、ムラサキのオーラのぼろきれは、先程の建物へ行きました。
そこで、ソレ系の同人誌を物色します。
「なるほど…ムラサキのオーラか…。
それにしても、これが人間の一番大事な宝なのか?」
さあ…?あたしにはよくわかりませんけど…。
その頃の龍宮。
「あっ!」
「?どうしたんだ、乙姫?」
「浦島さん。いえ、あの玉手箱の中身、間違えたんです。
危険物指定のガスを間違えて入れてしまって…。」
「それは大変だ!すぐに陸へ行こう!!」
「はい!」
鶴の着ぐるみを着た異形に変身した浦島と、亀になった乙姫が海上から見たものは、
髪の毛が真っ白な、今の時代からは年寄りじみたぼろぼろの服を着て、
○○ガイじみた動きでソレ系の本を収集するムラサキのオーラのぼろきれの姿でした。
『・・・認メタクナイモノダナ。若サユエノ過チトイウモノハ・・・』
「浦島さん、それは正体を隠そうとしてもバレバレのニュータイプのセリフですよ…。」
『シカシ、コノ時代ニ、アノ姿デイルト、マルデ年寄リノ様ニ見エルナ・・・。
アノ○○がい太郎ハ・・・』
浦島太郎の歌
D ♪心細さに蓋とれば〜、開けて悔しき玉手箱〜、
中からぱっと白けむり〜、たちまち太郎はお爺さん〜。♪
「強引ですよ、浦島さん…。」
『ソレヲ言ウナ・・・乙姫。』
海の上でやけにいびつな鶴と亀になった浦島と乙姫が一緒にいるところを見て、
こみっくパーティーに来ている、その光景を見ていた人々は、
「鶴は千年、亀は万年でござるな。」
とうたいました。
と、いうわけで今日はここまで。
続きは次回の講釈で〜。
♪おれは自由に〜生きるそんご〜くうだよ 気楽なもんだよ〜…♪
あとがきの類似品
むぅちんと呼ばれたい夢幻夢想です。
(あのな…幻夢です。)
今回、やや強引、やばいネタが入っていますが、笑って見逃して下さい。
(あまりにもヤバ過ぎるだろ…これは…。)
次回は桃太郎の予定です。
(予定は未定だがな…。)
それはいわない約束だよ、げんちゃん。
では、この辺で。夢幻夢想ことむぅちんでした。
(では、この辺で。幻夢こと、げ、げんちゃん、でした…(照)。)
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